長編用
□幼少期
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紅音が特訓を始めて一ヵ月後。
「こっの!チビッ!!!」
ただいま白髭海賊団は戦闘中。
白い子狼がちょろちょろと逃げ回るのを、敵が顔を真っ赤にして追い掛け回している。
子狼こと紅音は、別の敵の股の下を潜り、後ろから頭突きをかまして海へ突き落とす。
くるりと振り返った紅音を、大勢の敵が囲んでいた。
それなのにも関わらず、子狼はお座りをしてから首の辺りを後ろ足でわしゃわしゃと掻く。
「「「「「こんっのクソチビがぁっーーーー!!!」」」」」
刀がいくつも振り上げられても、動じない子狼。
そのとき、刀を振り上げた敵の集団が、全員倒れる。
見えるのは、パイナップルとフランスパン。
もとい、マルコとサッチ。
「ふぁ〜〜〜ぁ。」
ひとつ大きなあくびをする、子狼。
「紅音、少しはまじめに戦えι」
「やってるよ。」
「やってるのは、敵を海に落とすことだけだよいι」
「てき、へってるからいいでしょ。」
((……このやろうι))
マルコとサッチが息をついたとき、子狼が徐に立ち上がる。
サッチを飛び越えて目指す先には、サッチを狙う敵。
サーベルが空中の子狼に標的を返るも、子狼は身体をひねってそれを避ける。
そして頭にかみつき、そのまま勢いで後ろに引き倒す。
派手な音がして、敵は白目を剥いた。
「こいつ、物覚え早すぎねぇかι」
「…………よいι」
この後も、紅音はちょろちょろと戦場を動きながら、マルコやサッチに加勢するのだった。
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