長編用

□現在
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「マルコ〜〜〜っ!!」

「なんだよい。」

「はい、傘下の海賊からの報告書。」

「助かったよい。」



受け取った書類を机に置く。



「コーヒーいる?サッチに入れてもらってこようか?」

「いいよい。自分で行くよい。」

「いいの!マルコは仕事があるでしょ。もらってきてあげる。」



そう言って紅音は出て行った。




あれから時は流れ、紅音は15歳になった。

もうすぐ誕生日だ。

紅音の成長は早かった。

あっという間だった。



「俺も、年取るわけだよい。」



はぁと息をつく。










紅音には、反抗期というものが存在しなかった。

常に俺やサッチの傍にいた。

そして、常により高い精神年齢を見せつけ続けた。

その上あいつは戦闘中、まず無駄なことはしない。

常に先を読み、戦略を考え。

常に俺達の一番闘いやすい状況に持っていく。

天才的な戦略家だった。

刀を使うのも、すぐにうまくなったし、銃を使わせれば、すぐに的に当てるようになった。

体術を教えれば、柔軟な筋肉をいかし、覇気はより鋭く正確に扱うようになった。

運動神経もよく、頭脳にも長けていた。

その上、子供の頃の可愛さと、大人の色気を併せ持ったまま育った。




(さすがに犬耳と犬尻尾は出さなくなったけどな。)



船内で紅音を狙うものは少なくない。

ナースより人気があるという噂もある。



正直、目がはなせない。

あいつに欠けているのは、男と女の関係だ。



……知識だけは無駄に備わっている。


が、実際に付き合ったりなんだりがあったかと聞かれれば、俺の知っている範疇では存在しない。

だから、現実を知らないあいつは、目がはなせない。

野郎どもが、酒に酔いながらそういう話をしているところに、平気で入っていく。

これは、サッチのせいも大いにあるのだが……。




「マルコ隊長の眉間に皺がよってまーすι」

「うるせーよい。」



目の前のサッチが、引きつった顔をしている。



「何いきなり怒ってんだよι」

「お前のせいで、紅音に余計な知識がついたからだよい。」

「あれは、紅音が勝手に部屋に入ってきて、俺の本を……。」


「だから置いとくなって言ったんだよい!」

「あれないと、俺死んじゃうもん!」

「だったら部下の部屋でも、調理場でも、移せばよかっただろい!」

「そ、その手があったかっ!」




「……アホだよいι」

サッチが頭を抱え込むが、頭を抱えたいのはこっちの方だった。






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