長編用

□親子から男女へ
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最近、紅音といる時間が減っている。

カリンが食堂で爆弾発言をした日からだ。



マルコ、マルコ、と常に傍にあった紅音の姿は、どんどん減っていった。




「…………はぁ。」

「んな落ち込むなって。」




「…………落ち込んでねーよい。」

「いやいやιどの顔でその台詞言ってんだよι」

「何がだよい。」

「紅音が離れてって寂しいんだろ。」

「そんなことねーよい。親離れの時期だろい。」

「ただの親離れじゃねぇだろ。」

「何が言いたいんだよい。」

「あいつは、お前のことを親じゃなく男として見はじめてるってこと。」

「んなわけねーだろい。いくつ離れてると思ってんだよい。」

「俺とお前、そんなに年の差あったっけ?」


「ふざけてんのかよい。」


「青筋たてんなってι」




苦笑するサッチ。




「いいじゃねーか、年の差あったって。」




そのとき。



「マルコーーーーっ!!」




紅音が突然後ろから抱きついた。




「…………なんだよい。」

「あれ?なんか冷めてない?サッチがなんかした?」

「何で俺限定なんだよι」

「じゃあハルタが悪戯した?」

「僕じゃないよーー。サッチがね、紅音がもがっ。」

「ハルタ、邪魔するんじゃねーよ。今いいところなんだから。」




ハルタの口をイゾウがふさぐ。


何がどういいところなのだろう。

まったくもって、よくはない。





「ん?私なんかした?最近は悪戯控えてるつもりなんだけど。」

「お前、まだ悪戯なんてやってたのかよι」

「ハルタと悪戯すると楽しんだもん♪ってか、いい年して盛ってるサッチに言われたくないし。」

「盛ってるとか女の子が言わないの。」

「サッチが教えてくれたんでしょ。」


「てめぇ!サッチっっっ!!」


「紅音の馬鹿!マルコの前で言うなっつーのっ!!」

「わざとに決まってるじゃん。」

「裏切り者っ!!」

「あ、そうだ。サッチ、アイスちょーだい!」




にっこり笑顔の紅音がサッチに抱きつく。


サッチが赤くなり、調理場へ向かっていった。





「にしてもさ、紅音って彼氏無しでいいの?」

「うっさいハルタ!いいの!別に困ってないし。マルコとサッチがいるし。まだ約16歳だし。」

「え?紅音って16なの?てか、紅音っておっさん趣味?」




ごちん。

ハルタの頭の上で派手な音がする。



ハルタの後ろには、笑顔でアイスを持ったサッチがいた。




「ほい、紅音。今日のは、フルーツミックスにしてみた。」

「ありがとー!サッチ大好き!!」




器を受け取った紅音が、近くの椅子に座って食べ始める。






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