長編用

□帰郷
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あれから数ヶ月。

とりあえず今はそっとしておこうという話になった。

なので、紅音の居場所は現在不明。




「ま、ビブルカードがあるからなんとでもなるけどなぁ。」

「サッチ?」

「ん?」

「どうしたの?」

「あいつ何処かなと思ってな。」

「あぁ。紅音か。とりあえず元気だよ。」

「ま、ビブルカードが無事だからな。」

「海軍に易々捕まるタイプでもないしな。」

「そうそう。」




ただいま宴中。

なんだが、俺とイゾウとハルタは淵で静かに酒を楽しんでる。

といっても笑ったりふざけたりしてるんだけどな。




「そろそろ迎えに行ったら?」

「あのなハルタ、一年は待つっつー話だったろ?」

「え〜〜!!だってつまんないんだもん!!」

「好き勝手悪戯しまくってる奴が言う台詞か?」

「イゾウだって紅音が帰ってこないかいつも甲板で見てるくせに。」

「あいつが帰ってきたらいいなと期待するなとは言われてないからなあ。」

「なんかずるいι今の台詞。」

「ハルタじゃイゾウに口では勝てねーな。」

「サッチは僕にだって言いくるめられるじゃんか。」

「それを言ってくれるな(泣)」

「「ははははっ!」」




最近の宴はいつもこんな調子だ。

紅音の話で始まり、早く帰ってこないかと皆が口々に言う。




「マルコはどうしてるんだよ。」

「あれは仕事することであいつのことを忘れてんだよ。」

「そうしないと起動しなくなっちゃうもんねー。」

「ほんと、どーしよーもねーパイナップルだよな。ゴフッ!!」

「こんな秋島近くの海に、こんな時間に飛び込んだら風邪ひくのに。」

「それが楽しくてしかたねーんだろい。」

「ナースの奴らに看病してもらえるからな。」

「薬投げつけられて終わりだけどね。」

「頭のほうも診てもらったほうがいいかもな。」

「賛同するよい。」

「僕もー。」

「で、仕事はいいのか?マルコ。」

「今終わったよい。」

「そうか。」

「こんのパイナップル!!どういうつもりだぁっ!!」

「もう一回沈むかよい?」

「やってみろ!!返り討ちにしてやる!!このロリコンパイナップル!!!」

「誰がロリコンだよいっ!!」

「お前に決まってんだろーが!シスコンのロリコンがぁっ!!」

「あ゛ぁ!?」

「サッチの奴、地雷ふんだな。」

「落ちるだけですむかなぁ?」

「明日の飯は期待しないほうがよさそうだ。」

「そうだねぇ。」






五分後。






「も゛、申じ訳、ありまぜんでじだ!マ゛ルゴざま!!」

「お、終わったな。」

「みたいだね。」

「酷い顔だな、サッチ。」

「ジョズ。珍しいな、こっちに来るなんて。」

「すごい音だったからな。親父が心配していた。」

「長男の乱暴さが直らないかどうか親父に相談してみるか。」

「サッチ、回復早いよ。」

「気にするなよ、そこは。」

「するけどな、普通。」

「それと、その相談をしたとして、無意味だ。」

「だよなぁ。」




落ち込むサッチ。

切れるマルコ。

海に飛び込むサッチ。

座りなおすマルコ。

帰ってきて土下座するサッチ。





「ところでよ、俺一個思ったんだけどな。」

「なに?」

「紅音がビブルカードを捨ててたらどうする?」

「「「あ。」」」




サッチの一言に全員が口をあける。


その可能性を完全に失念していた。




「で、でもさ、捨てるなら持ってかないしさ。」

「紅音だってそうそう俺達が追えない状況を作ったりしないだろ。」

「そう、だな。よし、さっきの無し。」






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