言葉は離れているようで
□〜春爛漫!!学芸会!!〜
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【『違うところを探し出せば、片翼じゃなくなるかもしれない!!』
テンシはそう考えたのです】
「え、でも・・・」
『ハクシャクは乗り気ではない顔をする』
【魔界と天界では、魔物も天使も交じり合って生活しています
しかし
2つの世界には〔禁忌の時間〕があるのです
魔界では、天使は夜と朝は魔界にいてはいけない
天界では、魔物は昼は天界にいてはいけない
という2つの決まりです】
「どうしてなのか、知りたいし!!・・・行くよね?」
『ずいずいっと迫り来る、輝く瞳にハクシャクは「是」と言った』
「じゃぁ、まず魔界から♪」
『テンシは頭のわっかを取り外し首にかけ、翼を折りたたんでフードを深くかぶった』
「さぁ!行くよ!!」
「ぅ、ぅん・・」
『もう夕方で、空は紅に染まっている』
「ちょうどいいね!!」
『ハクシャクはテンシと距離をとる』
「ぼくと離れて歩いてね。イヂメられちゃうから」
【2人は離れて歩くことにしました。まぁ、1mぐらいですが】
『魔界には天界には無いもの(目玉オヤジ人形・内臓型グミなど)がたくさんあり、テンシはらんらん♪うきうき♪と魔界を歩いた』
【空が夜の暗い色に変化していく】
「グゥゥウ・・」
『魔物の様子が変化している 爪や牙が伸び、目が血走っていく 強い風が吹く』
「うわっ!!」
『その拍子にテンシのフードが脱げた』
「て、ンシだ・・・ウマ、そうナ、肉ダ・・・」
『1人の魔物の呟きを聞いた魔物たちが集まってくる』
「あ・・・ぁ・・」
『テンシは恐怖に身動きが出来ない
ビュッと風を切って鋭い爪が振り落とされた』
「・・・・?っ?!ハ、ハクシャク?!」
『衝撃が無いのを不審に思ったテンシは恐る恐る目を開けた』
「しっ!!静かに!走って!!」
【ハクシャクはいつも身につけているロザリオを狂った魔物たちへとかざし、テンシへと振り落とされた爪を腕に受けていたのです】
『ハクシャクは腰の抜けたテンシを抱きかかえて・・俗に言うお姫様抱っこで逃げた』
「ちょっ!!腕に負担がかかるから!!自分で歩けるよ!!」
「あいつらから?」
『テンシは後ろを振り向く』
「ニ、肉・・・血ィ・・・」
『束になって魔物たちは追いかけてきていた』
「・・・・ゴメン。また腰抜けた」
「じゃ、つかまっててね」
【魔物たちの追跡から逃れ、ハクシャク達は命からがら、屋敷へとたどり着きました】
『テンシがハクシャクの腕の怪我を治療しようと腕から這い出した』
「ハクシャクっ!!だいじょ・・・」
「テンシ、大丈夫だった?!怪我してない?!」
【ハクシャクはテンシの言葉をさえぎってまでテンシの心配をしました
腕からはまだ、血が滴っていると言うのに・・・・】
「僕は怪我なんかしてないっ!!それより、早く手当てしなきゃっ!!」
「え・・?あ、忘れてた」
【テンシは自分を助けてくれたロザリオと身を挺して自分を庇ってくれたハクシャクを好きになりました
そして、夜が・・・・・嫌いになりました】
「もうすぐ朝だよ?庭で朝を見るんでしょ?」
【2人は庭で優雅にティータイムしながら、朝になるのを待っていました】
『日の出の刻 空は赤と青、ピンクが混じった、奇妙な色だった
思わずテンシはハクシャクにしがみついた』
「どうしたの?」
「・・あの色・・・気持ち悪い・・・なんか怖いし・・・」
『ピキッとなにかがひび割れる音がした』
「見ていると・・・血が見たくなる・・誰かの体を引き裂いて・・・」
『テンシの目が血走っていく』
「・・赤い、血をすすって・・・」
「テンシっ!!!」