A Memory 第二章
□第32話・†
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―アルビオール内部―
ルーク達によって救われたアクゼリュスの街。
住民達はチーグルの森へと移動して来た彼等の口からそれを告げられ、誰もが涙を流し合った。
諦めていた街…それが変わることなく自分達の手に戻って来た喜び。歓喜の涙…。
一刻も早く帰りたいという住民達の想いに答えアルビオールはその日の内、再びアクゼリュスへと飛んだ。
住民達と街の再会を見届けた後、アルビオールはルーク達を帰す為今はバチカルへと進路をとっている。
しかし。いくらアルビオールが空を飛び尚且つ移動速度の早い乗り物とは言え、アクゼリュスとチーグルの森の往復2回を一日で繰り返せばそれなりの時間は喰ってしまうもので…
現在のアルビオールは漆黒の闇の中を飛んでいた。
「……んっ…」
アルビオールの数少ない部屋から漏れた小さな声。
発信源の毛布から頭を出したのは可愛らしいピンクの髪が特徴の少女……アリエッタだ。
アクゼリュス救援にリグレット達と共に駆り出された彼女は当然バチカルへ赴き和平締結をしかと目に焼き付ける権利がある。
女性専用部屋として使われることになったこの部屋でアリエッタは今しがたまで眠っていた。
その彼女が起きた訳は――……
「………ガーちゃん…?」
アリエッタはキョロキョロと辺りを見渡す。
が、隣にいるのは同じ六神将のリグレットと…友達のグリフィン一匹。
リグレットとアリエッタの間で寝ていたはずの友達、ライガがいなくなっているのだ。
「…ガーちゃん?……何処??」
再びキョロキョロと辺りを見る――が、いない…。
ふと見付けたのは女性の部屋にしては無用心な…開きっぱなしの出入りに使う扉。
アリエッタはまさか…と両隣で眠るリグレットとグリフィンを起こさないように立ち上がった。
開いたままの扉に近付き、外に出る。
開けたばかりの目の前には窓しかない。
が、少し視線を左にずらせば…
「…………よぉ…」
見えた。
美しい深紅の青年が―――