A Memory 第二章
□第25話・旅路
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―カイツール付近―
「“シュトロムエッジ”!!」
目の前に現れた魔物に対し、情け無用の鋭い矢が飛ぶ。
追撃と言わんばかりに、ナタリアの“エンブレススター”も放たれ魔物は鎮められた。
「ナタリア姫…凄いですね…」
「命中精度が宜しいようで…」
実戦経験がないとは思えない鮮やかな戦闘ぶりに、思わず歓声を上げるグランツ兄妹。
「ランバルディア流弓術マスターランクの実力をナメて貰っては困りますわ!」
実力のある彼等に褒められたナタリアは嬉しそうに、誇らしげに答える。
次いで「それと…」と付け加えた。
「私のコトは呼び捨てで良いと申しましたでしょう?アクゼリュス保護へ向かう以上、私が王女であるコトは内密にしなければなりません」
「…つか寧ろナタリアは、インゴベルト陛下に黙って来たからバレたくないだけだろ?」
「あら。アッシュは分かっているではありませんか」
図星を刺されたのを軽く受け流すナタリア。彼女も余程の天然らしい…
いくら姫からの許しとは言え、王女様を簡単に呼び捨て出来るはずもなく…既に慣れている赤毛とは対象に、グランツ兄妹はどうするべきか迷う。
「それに私…同じ年ぐらいの女性の友達が欲しかったの」
「…ナタリア姫」
『友達』と言われほのかに赤くなるティアの顔…
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