A Memory 第二章

□第23話・擦れ違う怒り…
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「「……」」

二人は開けるはずの口を固く閉ざしている。
その様子に「知っていたんですね?」とアッシュは再び聞いた。

「アッシュ!無礼だぞ…」

ヴァンが慌てて止めようとするが、アッシュに片手で制され、逆に止められる。

「ずっと…ずっと考えていたんだ…」

小さく、アッシュは話し始める。

怒りとも悲しみとも取れる声音で…。


「公爵。婦人。…貴方達は…ルークが17歳で死ぬ事を知っていたんだろ?」

「…」

「あの譜石に…書かれていたんだろ?」





「……………そうです」


「!?シュザンヌ!!」



今まで肯定を捕らえなかったファブレ公爵の代わりに、妻であるシュザンヌが答える。

目元を潤め、胸にあった手を口元に当てて…。



「あの子が生まれて直ぐ…専属のスコアラーさんに譜石を読んで貰いました」

「シュザンヌ!!」

「……あなた…あの子はもう居なくなってしまうのです。…今更隠さなくても宜しいではありませんか…」


今にも大粒の涙を零して泣き出してしまいそうな彼女の声を聞き、出そうだった言葉をグッと飲み込む。

それを見て、シュザンヌはもう一度アッシュを見た。



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