A Memory 第二章
□第25話・旅路
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上流階級の人間だった為、周りにはいつも気を遣われていたナタリア。
友達と言えば、同じく高い地位を持っていたルークと、その世話係りだったガイだけ…
女の子同士、仲良く遊ぶ下級の少女達が、いつも羨ましかったのだ…と。
「ルークとガイが居ましたから、友達には困りませんでしたけど…やっぱり、女は女同士で話したいと思うコトが沢山ありましたの…」
駄目かしら…?と、ナタリアはティアに柔らかい笑みを浮かべながら聞く。
ティアは赤い顔を少し歪ませ、
「わ、私で良かったら!ナタリア!」
ナタリアの手を取りながら答えた。
ティアも又軍人…。同い年の女の友達が欲しかったのだろう…
妹の気持ちを一番理解しているヴァンは察し、フッと笑う。
「では、これからは失礼致しますよ。…ナタリア」
この旅で最後となろう、彼女に対する敬語を述べた。
それと同時に…
「?」
ルークの足が止まった。
「?どうした、ルーク?」
「…あれは?」
先頭を歩いていた為、ルークが止まれば皆止まる。
不思議そうに彼が指を指す先には――
――気高き峠。
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