A Memory 第二章
□第25話・旅路
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「……デオ峠だ…」
「デオ峠?」
高く聳え立つ峠。
その先に待つのは、『彼等』の運命を左右する街――。
「あの先が…アクゼリュス…」
――いつの間にかこんな近くまで来ていた…
「……」
アッシュの言葉に、ルークはもう一度峠を見る。
心なしか…その瞳は不安で揺れていた。
落ち着かせるように、アッシュはルークの肩を叩く。
「大丈夫だ!」
不安を吹き飛ばせる程の…強い笑顔で…
「…なぁ、アッシュ」
「ん?」
「…『峠』って何だ?」
「「「「……」」」」
緊迫した空気が、世話係りである金髪の青年に対する怒りや疑問へと変わった瞬間だった。
「――へっくしょん!」
所変わってマルクト行きの船の中。
突然出たくしゃみに、金髪の青年――ガイは?と首を傾げる。
「おや。風邪ですか、ガイ?」
小さな個室のテーブルに向かいあって座っていたジェイドが、本から視線を外して問う。
そんなはずは…と次いで出て来ないくしゃみに、ガイはますます疑問に顔を歪ませた。
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