A Memory 第二章
□第26話・慈悲深き皇帝
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「ホドの崩壊から、生き残りがいたとは思わなかった…」
「…私も、こうして生きていたのが不思議なくらいです…。気がついた時には、当時私の剣の師匠であったペールに助けられていました…」
家族を殺され、気を失った所をペールに担がれ救われたのだろう…とガイは自分の過去を素直にピオニーに明かしていく。
「なるほど…。皆、お前を生かそうとして死んでいったのか…」
「……はい」
俺なんか守らなくても良かったのに…と、自暴自棄したコトもあった。
自分を身を挺してファブレ公爵の兵から守ってくれた、家族や使用人達の想いも考えず…。
そんな時、公爵家で再会したヴァンに言われた言葉。
「『お前を守ってくれた者達のためにも、お前は生き延びねばな…』」
同じ言葉を、ピオニーは口に乗せた。
「ガイラルディア。お前はマルクトに戻って来るといい…。お前の生きている姿を見たかった者達が、マルクトには大勢いる…」
「…」
「無論。強制はしないがな…」
元々いるべき自分の国…。
復讐心のなくなったガイに、それを断る理由もなく…
ガイはピオニーに頷いた。
世話していた、赤毛の青年の今後を考えながら――。
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