A Memory 第二章

□第26話・慈悲深き皇帝
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「――では次に…陛下にお願いがあります」

「何だ?」


「キムラスカと和平条約を締結させる為に…キムラスカに赴いて頂きたいのです」

眼鏡を上げ、もう一つ重大な話を切り出したジェイド。王座の椅子に座るピオニーの隣に立っていた体を前に持って来させ、膝を付く。
話の内容にピオニーは眉を寄せる。

「何故だ?俺は親書をキチンと自分の手で書き、お前と道師イオンに託したはずだぞ?」

「確かに陛下にしては珍しく、自ら進んでいつもの貴方からは想像出来ないほど礼儀を弁えた文面の和平条約締結を提案した親書を書いて頂きましたが…」

「当たり前だ。何たって俺はマルクトの皇帝だからな」

ジェイドの嫌味を何無く交わして返事を返すピオニーがガイには神のように見えた。
同時に嫌味に含まれた彼の性格に「本当にこの人皇帝か?」と再び疑問に思ってしまう。

ジェイドは「その親書なのですが…」と一つ溜め息。


「…無駄になってしまいました」

「無駄?」

「キムラスカに落ちた譜石に、マルクトがキムラスカにアクゼリュス保護の申し出をし、何らかの形でキムラスカのファブレ公爵家の一人息子が死、それを機に戦争が始まると予言されていました…」



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