A Memory 第二章
□第27話・世界の一部
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―鉱山都市アクゼリュス―
目的地に到着するなり、その街はルーク達を青ざめさせた。
障気独特のいかにも毒がありそうな赤紫の霧…
地面には何人もの倒れた人々…
僅かに息をし、唸る者もいれば…
既に動かない者も…
それの近くで蝿がたかり、蝿も又、障気で毒され死んでいる。
我が子を失う者もいれば、動かぬ母親の傍で泣く子…
立っているのはどれもフラフラした足取りのやつれた人。人。人。
指で数えられるくらいしかいない。
「…っ…酷い」
誰よりも国民を大事に想うナタリアは、あまりにも悲惨なその街を想い、悲痛に顔を歪める。
「!貴方方が、使者の方ですか…?」
街の入口に立っていた男がコチラを向く。
がっしりとした体には似遣わしく、フラフラと倒れてしまいそうな足取りでルーク達の元に…
やつれた顔で、優しい笑みを浮かべた。
「見た通り、街はこの有様…このままでは街の人達全員が死んでしまうと思い、ピオニー陛下に頼んだのですが…」
「…いかにも。アクゼリュスを救う為、親善大使としてやって来ました…ルーク・フォン・ファブレです」
ルークは男に深くお辞儀をし、手を差し出して握手を申し出る。
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