A Memory 第二章

□第27話・世界の一部
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「!ファブレ!まさかキムラスカの方達が来て下さるとは…!!」

元々キムラスカの領土だったアクゼリュス。今はマルクト人とは言え昔の付き合いもあり、男は嬉しそうにその手を握り返した。
しかし…と男は握ったまま口を開く。

「普通…こんな光景を見れば…気持ち悪がって誰も私達に触ろうとしないのに…」

自分から握手を切り出したルークが珍しかったのか、顔を下に向け、ポツリ…と男は呟いた。
だが、そのか細い声はちゃんとルークに伝わっていて…



「…気持ち悪くなんてありません。貴方方は皆、こんな状況でも精一杯生きているのですから…」


頑張って生ける者を気持ち悪がるなんて、ただの障気を恐れる臆病な人間の差別だ…。



ルークは自分の雰囲気に従い、誰もが安らぐであろう、柔かな笑みを浮かべた。

男はその言葉に顔を上げ、自分より身長が低いルークを見下ろす形で正面を見る。
親善大使の名に相応しい青年はそれを見、先程とは違う…でも同じ柔らかい笑顔を向けた。


「……ありがとう…っ」


その一言には自分達を偏見しなかった感謝の言葉と、『貴方にアクゼリュスを任せます…』という救いの気持ちが備わっていた。



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