A Memory 第二章

□第28話・『1万人分』
3ページ/12ページ



アクゼリュスの住民はゾロゾロと静かに…確実にアルビオールへと乗り込んで行く。
乗る前に自分達の街を名残惜し気に振り返る者が後を絶えないからだ。

どんなにゆっくりでも、その分街を多く目に見るコトが出来、誰一人文句を言う者はいない。



「…リグレット教官」

住民の誘導を勤めていたリグレットに声が掛かる。
それは自分達にとってトップに立っているヴァンの妹…自分のかつての弟子。

「こんな時にスミマセン…。どうしても教官とお話が…」

「…ティア・グランツ!」

「!?は、はい!!」

ビクッと体を強張らせ、ティアはリグレットに向き直る。

「今はアクゼリュスの住民の保護が最優先だ。私情を挟んでいる場合ではない」

「!………スミマセン…」

眉間にシワを寄せ厳しく注意する彼女に、安易な考えをした自分に反省するティア。
本来の目的に戻らなくちゃ…と後ろを向き…


「…タルタロスで久しぶりに手合わせした時、なかなかの判断力と行動だった。…強くなったわね」


「!」


もう一度リグレットに振り返ったティアだったが、彼女は誘導係に戻り、コチラを向かない。
彼女の言いたいコトは先程口で聞いたばかり…、それ以上は意地を張らず、ティアは与えられた作業に戻った。



.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ