A Memory 第二章
□第29話・超振動
3ページ/8ページ
「ルーク。俺が初めてお前に教えた技…覚えてるか?」
「え?」
そう言われ、ルークは考える。
…いや、特に考える必要はない。
何故ならあの技はアッシュが守ってくれた技であり、自分も彼を守りたくて、必死で覚えた技なのだから…。
技名は……
「…『守護方陣』」
「そう。守護方陣は敵を攻撃するだけでなく、陣の中にいる仲間を回復出来る技だ。その理論は…第七音素を微量に使っているお陰」
「!」
「守護方陣に使う第七音素を爆発的に出せば、超振動が起こるはずだ。技感覚で発動すれば、ルークだって扱い易いだろ」
彼を守るために覚えた技が…
街一つ救うために役立ってくれる!
「…やってくれるか、ルーク…」
断る理由など…
「あぁ!!」
ない!
「ルーク!頑張って下さいまし!」
「私達も二人の負担を軽くするために回復譜術で応援するわ」
ティアとナタリアも胸に手を当て、ルークの意思を尊重する。
ルークは嬉しそうに二人の応援を聞いていた。
(…見てるか、アンノウン)
アッシュは聞こえないであろう、彼に話し掛ける。
(何も知らなかったルークが、街一つ救うんだぞ…)
(お前はこの光景を喜んでくれてるか?)
(……喜んでくれてるといいな…)
アッシュはセフィロトに向かい、瞼を閉じる。
(いざという時は、お前がルークをリードしてくれ…)
たぶん俺は…自分のことで手一杯になるだろうから…。
アッシュは震える手を無理矢理握り閉めた。
.