A Memory 第二章

□第29話・超振動
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―アクゼリュス最下層…セフィロト―




「じゃぁ…始めるぞ」

アッシュの合図にルークは頷き、ゆっくりと首輪に手を伸ばす。
パチンッと音を立て、それは地面に落ちた。


刹那





――ドクンッ!!――





「っ!!……ぐぅ…」

「アッシュ!?」

唸り声を上げ、ふらりと傾きかける体。
ルークはそれを支え、目を見開く。


アッシュの苦しそうな顔とひたたる異常な量の汗。青白い顔。


肩で息を繰り返すその姿は――



徐々に白い光を帯びてゆく。




「あ…しゅ…?」

「大…丈夫…、…体内の第七音素が…出たがってるだけだ……」



弱々しい声は



聞いたことがないくらい細かった。







――恐い





――アッシュのこの異常な状態が…






――アッシュが消えてしまいそうで…









ガッ!!




「!?」


「……そんな顔…すんな…」


でも彼は、


力一杯、俺の腕を掴んだ。



「…アクゼリュス…救うんだろ?…だったら早く…始めないとっ」


アッシュは腕に一層力を込め、その力を使って立ち上がる。

セフィロトに向かい、歩き始めた。



「ルーク…、始めよう!…我慢は体に…悪いからな…」



莫大な量の第七音素の圧迫に構わず、




アッシュは笑った。




いつもの笑顔で…





小生意気な顔で…






そうだ。




早く超振動を放って、第七音素を外に出させてやらないと…





でも…これだけアッシュを苦しめる音素を……俺はリード出来るのか?






「――ルーク!」





アッシュは片手を差し出す。




そう…迷ってる暇はない…




アクゼリュス(世界の一部)を救うためには…






やらなければならないのだから!




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