タイトル未定

□プロローグ
1ページ/1ページ

…お母さんっ、助けて…
痛い、助けて…っ
…死んじゃうっ……
怖いっやめて…



子供の声と、皮膚が焼ける匂い。
ざわざわと鳥肌が立つ感覚。

娘が泣く、その度に、胃の中がかき回されるような不快感が押し寄せる。

それは、酒に酔う感覚に似ていた。

苦しくなって、また、その白い肌にタバコの火を押し付ける。

じゅっ、と嫌な音がして、焦げる匂いと、煙の匂い。
吐きそうになる。




「痛いっ…助けて…お母さん…」




娘が、泣きながら、今日も助けをこう。





助けて欲しいのは私の方よ…
非力な娘を、訳もなく責める。
こんな事をして、何かが救われる訳もないのに。
そんな事は分かっているのに。




強い閉塞感と、息苦しくなる程の罪悪感。

やめたいと思っても、この、廃れた心では、どうにもならなかった。

やせ細った娘の体を見る。

可哀想に…

そう言いながら、また…。









これはもはや、中毒だ。
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ