Main

□大好きだった。
1ページ/2ページ

大好きだった。大好きだった。
なのに、なんで…なんでお前は
「や、あっ、つ…るぎっ…//」

「声抑えないと、誰かに聞こえますよ?」

―バサッ

「やっあっ…き、りの…?!//」

剣城と愛し合っているんだ…?

俺は教室から駆け出した。
日直の仕事も忘れ、鞄も持たずに、俺は何も考えずにただただ走った。
誰かが俺に話しかけてくるが、その声も誰だか分からず、聞こえない。

剣城と神童が愛し合っていたという事実から目を背けるように。
あいつの可愛い声とか、可愛い仕草を知っているのは俺だけだと思っていたのに。
一番神童を理解しているのは俺なのに。
なんで…なんで…

ずっと走って辿り着いたのは
あいつとよく遊んだりしていた河川敷だった。

「霧野っ…こんな所に居たのか…」

河川敷の坂に寝そべっていたら、後ろから聞き慣れた声が聞こえた。

「神童…何の用だ?」

神童に問いたい事は一杯あったけれど、それを我慢して冷静さを纏った声で聞いた。

「あの、さっきのあれは…「別にいいけど?」…え…?」

「神童は、剣城の事が好きなんだろ?なら、俺達別れよう。親友もやめよう。」

「霧野…」

「じゃあな。」
俺は走った。
溢れ出す涙を隠すように。


((神童のバカっ…))


『霧野っ…!』

遠くから、神童の声が聞こえる。

でも振り返っちゃダメなんだ。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ