愛のカタチ
□学園天国
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何で?
何で私が…受けたくもない、編入試験を受けなくちゃいけないの?
もう!!試験って何処で受ければいいのよ!
冬休み中の校内は、静まるかえっていて誰もいない
何処に何があるか……今、自分が何処に居るのかも分かんないよ(泣)
キョロキョロしながら歩いていると、向かい側から一人の男の子が歩いて来た
なんだか…凄く綺麗な男の子だよね
真っ赤なぷっくりした唇に、大きく綺麗な瞳
背筋をピンと伸ばして、真っ直ぐ前を見て歩いて来る
すっごく、お勉強出来そうなタイプ(笑)
「あ、あの…」
すれ違いざま、思いきって声をかけてみる
「あの…すいません、職員室って何処ですか?」
その男の子はチラッと私を見ると
「もしかして、編入試験受けに来たの?」
「あっ、はい…」
「ふ〜ん……あんたが編入予定の特待生って事か……ねぇ、何やったの?」
「へっ?何…やったって?」
特待生って、何かやった人がなるの?
「うちの特待生ってさ〜成績良ければ、何でもありじゃん?だから、特待生で編入してくる奴って、何かしでかしたか、性格に問題ありの奴ばっかだからさ(笑)」
そ、そうなの?
確かに……不本意だけど、私にもちょっと事情があるけど…
「まっ、いいや(笑)そこ曲がって2番目の教室が、編入試験会場だよ」
そう言ってニッコリ笑ったその人は顔、まるで絵本の中の王子様みたいだった
やだっ、顔が赤くなってきちゃう
「俺の名前は櫻井翔。ちなみに俺も特待生(笑)あんたは?」
櫻井…翔?どっかで見たような…
「えっ?あっ…村上…村上友美です」
「友ちゃんね。ん?あんたってさ〜超頭いいよね?」
「えっ?そんな事…」
「あるじゃん!あんた全国模試の結果、いつも上位でしょう?」
「あっ!櫻井翔って…」
「気が付いた?俺もけっこう頭いいの(笑)」
何処かで見た名前だと思ったら、模試の結果表で見た名前だったんだ!!
いつも、私の名前の近くにあった名前
「あの…櫻井さんも特待生なんですか?」
「うん」
「じゃ……櫻井さんも、何かしちゃったか…」
性格に問題でもあるんですかなんて、さすがに言えなよね(苦笑)
「俺?俺は何もしてないよ。友達の付き合いで入った感じかな(笑)性格は自分じゃ〜普通だと思ってるけどね
」
「友達の…付き合い?」
「そう♪超素行が悪い友達に付き合ってね。あっ、性格もちょい問題ありかな?すげぇーわがままな奴だからさ(笑)」
へぇ〜こんなに格好よくて頭もいい、でもって性格も良さそうな人が
素行が悪くて、性格問題ありの友達に付き合って特待生になるんだ…
「ねぇ?時間大丈夫?」
へっ?あ、あと10分しかない…
「あ、ありがとうございました」
慌ててお礼を言って頭を下げる
「同じクラスになったら、よろしくね」
同じクラスって…
「まだ私、試験に受かってないんですけど…」
「あんたの成績なら、大丈夫じゃない?まっ、頑張ってね」
軽く手を上げて歩いて行く櫻井さん
私も急いで歩き出す
「あっ!!」
へっ?
櫻井さんの声にびっくりして振り返っると
「俺の事、櫻井さんじゃなくて翔でいいから」
「翔…くん?」
「まっ、それでいいや♪じゃ、またね友ちゃん」
ニッコリ笑って手を振る姿は、王子様そのものだった