愛のカタチ

□君の隣り
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「おい、智!起きろっ」


窓から身を乗り出して、ベッドで幸せそうに眠ってる智に声をかける


何でさっき起こしたのに、また寝てるんだよ


僕、言ったよな?


朝飯用意しとくから、着替えて顔洗ったらこっちに来いって


お前、“うん”って言ったよな?


僕が目眩する位に爆発的に可愛い笑顔で、“うん”って言ったじゃん


「くそっ、仕方ねぇーか」


窓枠に足をかけて、智の部屋の窓枠に足を伸ばす


そのまま、窓際に置かれた智のベッドに飛び移った


眠ってる智の顔の両脇に手を着いて、身体に跨がる形で智の顔を見下ろす


起こす前に、ちょっと位ご褒美貰ってもいいよね(笑)


少し開かれた可愛い唇に、ちゅってキスをする


可愛い智


ずっと、ずっと好きだった


知ってるよ……お前が僕の事、大好きな幼なじみだって思ってるって


男の僕の事、そうゆう対象に見てないって


だから僕は気持ちを隠す


お前が僕の事、大好きな幼なじみだって思うなら


ずっと、大好きな幼なじみでいいって思ってる


その立ち位置でもいいから、お前の側に居たい


ずっとお前の側に居られたら、それだけでいい…


そう思ってたのに……近頃、自分の気持ちが抑えられなくなる時がある


もっと智に近づきたくて


もっと智に触れたくて


智の全部が欲しくて堪らなくなる


そんな事をしたら終わりだって、分かっているのに


時々、気持ちが抑え切れなくなる


で、近頃……抑え切れない場面が、増えた感じがする


もう一度、智の唇に自分の唇を重ねる


本当はもっと奥まで入り込んで、その甘くて熱い舌に僕の舌を絡めたい


シャツの中に手を滑り込ませて、その柔らかな素肌に触れたい


でも、それをしたら……何もかもが…終わる


ギュッて、智の鼻を詰まんむ


「…んっ…苦…し……ふえっ?なっ…」


息苦しくなった智が目を覚ました


「お前、せっかく僕が起こしたのに、何でまた寝てんだよ」


「………僕、寝てた?」


「あぁ、よだれ垂らした馬鹿面て寝てた」


「ば、馬鹿面じゃないもんっ!!」


確かにな(笑)


すげぇ色っぽくて可愛い顔だった


「よだれだって…」


「じゃ〜コレは?」


そう言って智の唇の横を、チョンって触れる


「へっ?」


真っ赤になって、慌てパジャマの袖口でゴシゴシ拭くから



「ばぁ〜か(笑)何も付いてねぇーよ」


智の上からどいて、窓枠に足をかける


「とにかく早く着替えろ、もう時間がない」


身体を起こして、真っ赤な顔で僕を睨んでる智に声をかける


「朝ご飯は?」


「時計を見ろ、食ってる時間なんてねぇーよ」


「………お腹減ってんだけど」


「僕だって減ってるよ!お前に付き合って、まだ朝飯食ってねぇーんだからな」


朝飯の準備をして、智が来るまでゲームでもってやり始めた


つい夢中になっちゃって、時計を見てびっくりした


慌てて2階の自分の部屋に駆け込んで、窓辺に急いで駆け寄って


幸せそうに眠っている智を見て、力が抜けたのと同時に笑った


「ねぇ和?朝ご飯食べてから学校に…」


「完全に遅刻だから…」


「別にちょっと遅刻しても大丈夫じゃない?」


「お前、今月何回遅刻した?」


「………」


「僕、お前に付き合って何回遅刻したのかな、智くん」


「えっと、直ぐに着替えるね(苦笑)」


やっとベッドから下りた智を確認して、自分の部屋に戻る


そのまま階段を駆け降りてキッチンに向かった


「良かった、パンにしといて」


トーストに目玉焼きとベーコン、サラダにしてあったレタスとトマトと胡瓜を乗せる


マヨネーズと塩胡椒で味付けをして、もう一枚のトーストを乗せてホットサンドにした


それを二つに切ってラップで包む


冷蔵庫から小さな紙パックのジュースを二つ出して、ホットサンドと一緒に紙袋に入れた


慌ててソファーの上に投げ出してある学ランを羽織ると、急いで家の外に出た


調度、智も隣りの家から飛び出して来て


「おはよう、和」


僕を見つけるとそう言って、ふにゃんと笑った


今更、おはよう?(笑)


僕の所に駆け寄って来て隣に並ぶ


「お前、寝癖ついてんぞ(笑)」


「ん?別にいいよ、気になんないし」


もったいねぇーよな


綺麗で可愛い顔立ちしてんのに、全くをもってそうゆう事に興味も関心もない


服だって適当だし、髪型だってそう


面倒くさいと自分で切っちゃう事もあるもんな(笑)


コイツが全力で自分を磨いたら、たぶん男にも女にもすげぇモテるんだろうな


今だって、智の事をそうゆう目で見てる男とか、頬を紅く染めている女とかいるんだけど


コイツ、全く気が付かねぇーの


マジで、鈍感(笑)



でも、お前は気が付かなくてもいいよ


男とはどうにかなる訳ねぇーけど、女はなぁ…


智が誰かのモノになるなんて、考えただけで怖くなる


彼女とか出来ちゃったら、こうやって僕と一緒には居てくれないんだよな


「智、食う?」


紙袋からホットサンドを取り出す


「食べる♪」


嬉しいそうにサンドを手にすると、パクんって一口頬張る


「美味しい♪」


パクパクと頬張って、くって詰まった感じになったから


「慌てんなって(笑)ほら、ジュースもあるから」


「あ、ありがとう…」


急いでジュースを飲んで、恥ずかしそうに僕をみる


「和って凄いよね、何でも出来てしっかりしてて…」


お前が何も出来ないから、僕が出来るようになったの


お前が危なっかしいから、僕がしっかりするしかなかったの


「僕、和をお嫁さんにしたい♪そうしたらずっと、僕の面倒見てくれるんでしょう?」


出来れば僕、貴方を僕のお嫁さんにしたいんですけど…


まっ、貴方がなれって言うなら、貴方のお嫁さんにでも何でもなりますよ(笑)


「勘弁して下さい……貴方のお世話を一生するなんて、絶対に嫌です」


心にもない言葉


だって幼なじみで居るには、こう言うしかない


「酷っ!いいもん、僕ずっと和にくっついて離れないからね」


そう言って智は、僕にぎゅうって抱き着いた
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