愛のカタチ

□学園天国
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ギリギリセーフで試験会場に入る


えっと…やっぱり私ひとりか…


とりあえず座って、先生が来るのを待つ


何で……私が転校するのよ…


全部、お兄ちゃんのせいなんだから…


はぁぁ……雅紀…大丈夫かな…


今朝、いきなり帰ってきたお兄ちゃんが言った


「友美、今日の午後おまえ編入試験受けろ!」


へぇ?編入試験って?


「な、何言ってんのお兄ちゃん!私、転校なんてしないし!!」


「おまえには本当に悪いと思ってる…」


ガシッっと、私の肩に手を置くお兄ちゃん


「でもな…お兄ちゃんも、おまえをここまで大きくするのに、すげぇ苦労してな…」


私達兄妹には両親がいない


私が小さい頃に両親共、事故で亡くなったから


両親が亡くなってからは、この年の離れた兄が私を育ててくれた


まぁ……大きい声じゃ言えなけど、兄はホストをしてて…


この人……私の兄は顔もいいし口も上手い


まぁ……いわゆるNo.1ホスト的な(笑)


でも、この人……こんな顔して、ホストなんかしてるくせに、超地味で現実的な性格なんだよね…


お店では“光輝(こうき)”なんて名乗ってるけど、本名は“太郎”だし(笑)


太郎って呼ぶと、超怒るの


で、ホストしてお金を稼いで、超節約して貯めたお金で、今はホストクラブなんかを経営してます


けっこう儲かってるみたいで、今度四軒目だったかな?お店をオープンする予定 みたい


「もう!苦労話はいいから、何で私が転校しなくちゃいけないか話てよ!!」


もう、何十回も聞いたつぅーの!!


いっつも、都合が悪くなったり何か頼み事する時は、この話するんだから!


「おまえにな……ママになって欲しいんだ」


は、はいっ??マ、ママ?


ママって、クラブとかスナックのママ??


「(笑)おまえ、勘違いしてるだろう?」


へっ?じゃ…


お兄ちゃんの後ろから、ひょっこり小さな男の子が顔を出した


1、2歳くらい?かな


「かわいいだろう〜俺の息子だからなっ♪名前は空だ!今、2歳ちょい」


そ、そら?…俺の…息子?


「お、お兄ちゃん……結婚した…してたの?」


私、初耳なんですけど…


そりゃ〜何日も帰って来ない日があるけどさ…


たった1人の身内に…妹に黙って結婚してたって…どーなの??


「まぁ〜お兄ちゃんもいろいろあ
ってな」


いろいろって何?!


「あ〜!もう時間ねぇーや。とりあえず、よろしくな♪」


へっ??ちょ、ちょっと待って!


「よ、よろしくって何?」


「しばらく、空のママになってって事」


「マ、ママーー?!?!」


「そっ♪おまえが今度行く学校、成績良くて特待生になれば何でもありでさ〜とりあえずおまえ、特待生になって子連れで学校へ行け」


「ち、ちょっと待ってよ!何で私が…」


「もう今の学校には転校するって言ってある。編入試験に合格して、特待生にならないと…おまえ行く学校ないぞ」


ないぞって…


「おまえの成績だと問題ねぇーだろう?おまえ、頭だけはいいからさ♪」


なんか“だけ”って所、強調してない?


どーせ、お兄ちゃんみたいに美形じゃないもん!


「太郎さ〜ん…いったい何なんすか…」


いきなり部屋に入って来たのは、幼なじみの相葉雅紀


「…光輝だから!二度とその名前で呼ぶんじゃねぇーぞ!!」


雅紀、毎回同じこと言われるんだよね(笑)


「すっ、すいません!」


で、毎回謝るんだよね(笑)


「おまえが編入試験受けてる間は、雅紀が空を見てるから」


「へっ?俺?…空って?」


雅紀も何にも聞いてない訳ね
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