BASARA小説
□竜来たりて小虎を愛す【作成中】
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―今日は奥州の伊達軍との戦であった。
お館様も、今日の戦は気合いが入っていた。
珍しく本気なのか、私たち十勇士を呼びだした―
「…さいぞうはおるか?」
「…ここに…」
信玄が叫んだ瞬間、さいぞうは霧に包まれながら姿を現した。
「…今日の伊達戦なのだが…少々気掛かりがある、幸村についていてはくれぬか?」
信玄は顔をしかめながら言った。
「何故ですか…?」
「うむ…幸村の事でな…、あやつ最近妙にこの甲斐から姿を消しておる」
「…それが、何か?」
「町の娘に聞いたところ…伊達の倅と会っているらしい…」
信玄の目がキツくなる。
「…わかりました、事情があるのなら承ります」
さいぞうは霧に隠れ消えた。
「幸村…」
そこに響き渡るのは、信玄の声と夜の風の声。
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さいぞうが廊下を歩いていると、この葉が落ちる音がした。
「…小助、でてこい」
「…クス…」
すると辺りに落ち葉が舞、人が浮き出てきた。
「…なぁ〜んだ、バレてたの?」
小助はつまらなさそうな顔をして言った。
「…下手な隠れ方だからな」
そういい、落ち葉が小助を囲み、小助の姿が消えた。
「…小助…」
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「幸村様…」
幸村が戦の支度をしてるところに、小助が話しかけた。
「小助か、どうした?」
幸村は包みから槍を出しながら聞いた。
「幸村様は、本気であの伊達政宗と戦い、首をあげる気があるのですか?」
「…!!…そ、それは…」
「今回の戦、甲斐と奥州との領土を巡る戦い、ここで迷われては駄目なのです、いざと言う時は、この小助が」
「…大丈夫だ、戦う気はある…」
幸村は小助の方を見ながら寂しそうな顔をした。
「…私は、貴方の影武者です、今回は私が劣りに…」
「それはならぬ…!!」
幸村が机を叩き豹変した。
「…ならば…殺す気は無いのですね?」
小助の目が冷たく鋭い目になる。
「………」
「…わかりました、では、失礼します」
「ま…待て!小助!」
そういい残し、小助は消えた。
「…どうすれば、いいんだ…」
辺りに響くのは沈黙の声…。
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「はぁ〜あ…疲れる疲れる…」
佐助は奥州の偵察から甲斐に戻る途中であった。