ばらかもん

□川藤×先生
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俺のもの

ドッボーン!!
と盛大な音と水飛沫を立てて海へ落ちた。
濡れた服を乾かしに(というのを口実に)半田をガキ共の目から離れた場所に連れ込んだのが、つい数分前の話。
そして現在―…

「全く、こういうことなら口で言え。」
「分かったから大人しくしてろ。」
半田の服を半ば剥ぎ取るように脱がして自分の服と並べて日当たりのいい場所に干し、タオルで半田の髪を掻き混ぜるように拭いていく。
目をキュッと閉じて為すがままになっている半田。
揺れる頭を必死に固定しようとしている姿が可愛くて、笑いを堪えながら拭き方を少し丁寧にしてやる。

「よし。ホラ、体も拭いとけ。」
「ああ。ありがとう。」
粗方髪の水分を取り終え、タオルに含まれた水を堅く絞って半田に渡す。
それを受け取って広げ、腕から首筋へと這わせていく姿が妙に色っぽい。
(目のやり場に困る…)
そんな事を考えていたときに本人に声をかけられたものだから、驚いてどもってしまったが仕方ない。

「おい川藤。」
「!! ど、どうした?」
「俺はもう大丈夫だ。俺が使った後で悪いけど、川藤も体拭かないと風邪ひくぞ?」
そう言って俺の体の上にタオルを走らせる半田は真剣で。
きっと本気で心配してくれての行動なんだろうが―…正直ムラムラして仕方がない。
「ムッ…何でお前はこんなに筋肉あるんだ?」
少し拗ねた表情で俺の腹筋や胸板を軽く叩く半田。
仕返しとばかりに半田の腕を掴む。
「お前は相変わらず華奢だな。」
「うっ…でも島に来てから太ったって言われた。」
「お前はもとが細すぎるんだ。ちょっと肥えたくらいがむしろ丁度いい。」
半田の腰に腕を回し、お互いの少し濡れた肌がピタリと重なる。
その感触や体温が堪らなく気持ちよくて、半田を腕の中に閉じ込めたまま、高いコンクリートの壁を背にして座り込んだ。

「ちょ、急にどうしたんだよ。」
「んー?濡れたタオルで拭くより、こっちの方が温まると思ってな。」
案の定、半田の体温はみるみる上昇していき、心地いい事この上ない。
あ―…一生こうしていたい。放したくない。
そんな事ばかりが頭に浮かぶ。

「外で男が二人抱き合ってるとか変だろ…しかも上半身裸で…」
「俺は別に構わんが。」
「ここに住んでる俺はどうなる!」
「この向きからじゃお前の顔は見えねぇよ。それに…」
「それに?」
「さっきからお前、口でしか拒んでないくせに。」
「!!」
その気になれば逃げられた。
そうしなかったってことはつまり―…
「本当に放してほしいか?」
「〜っ…川藤のばか。」

言葉とは反対に、真っ赤になりながら首に腕を捲き付けてくる。
半泣きになりながら「分かってるクセに…」と消えそうなほど小さく呟いた半田の背を優しく撫でる。
頼まれたって、放せるわけないだろう。

会えない間、俺がどれだけお前の事を考えてたか。
連絡が取れなくなって、どれだけ心配したか。
島に来てから、どれだけ触れたいのを我慢していたか。
康介や島の金髪のガキがお前をどんな目で見てたか―…

「絶対お前、分かってないよな。」
「え?何か言った―…んっ。」
半田の唇を自分のソレで塞ぐ。

チラリ。
目だけ上げた視線の先には、半田が好きらしい金髪のガキ。
驚いたような表情で、ただ呆然と俺たちを見ているだけのソイツに見せつけるように、深く深く口づける。

誰が相手でも関係ないが
お前みてーなガキに
半田は渡さない





(俺も大概、大人気ねぇな)

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