Parody Story
□輪廻(完)
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この時代、月には王国が存在し、不老長命の魔族と呼ばれる者たちが住んでいた。
そして地球には寿命が百年にも満たない人間たちが住んでいた。
二つの国は互いに交流を持つことは王族間で年に一度ある程度。基本的に関わりを持つことは禁止されていた。
これはそんな二つの国に住む一組の男女が織りなす切なくも悲しい物語・・・
ある日、月の王国では第二王子が行方不明と人知れずなっていた。
「…おい、コンラートはどこへ行った?」
「…さあ…そういえば最近よくいなくなりますね…」
不老長寿の魔族が住む月の王国の重鎮二人が話す。
「…まったく…あれは王子としての自覚があるのか…」
片方の男は、眉間にしわを寄せていたのに更にしわを増やして苦言する。
「あの子は元々自由な思考の持ち主ですからね…」
コンラートの師であるもう一方の男が苦笑しながら言う。
「…まさかとは思うが…地球国には行っていなければいいが…」
「…そうですね…」
男たちは窓から見える地の向こうに広がる宇宙空間に視線を向けた。
その先には青く輝く星が一つあった…。
所変わって地球国のとある一角、王族しか立ち入ることのできない森で一人休んでいた地球国の王女の元に新たな来訪者がやってきた。
「ユーリ!」
「…プリンス…」
王女の証である黒目黒髪を持った少女は、現れた来訪者に困ったような笑みを浮かべた。
「プリンスなどという肩書きではなくコンラートと呼んでください…」
対する来訪者は呼ばれ方が気に入らなかったらしく、若干ムッとしながら王女を見た。
「…また抜け出されていらしたんですか…?兄君たちも大変ですね…」
王女は彼の兄の心労を思い、同情した。