Parody Story

□天秤(完)
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月が雲に隠れた深夜、公園で男女が争う声があった。



「やだ…っ、離して…!」

女性…というより少女は背後から両手首を捕まれ、恐怖に怯えながら逃れようと暴れる。

「ち…っ!おとなしくしろ!」

男が抵抗する少女に痺れを切らし、口を手で塞ぎ腹部に腕を回し両腕も一緒に抑えつけると、茂みに連れて行こうと無理矢理動き出す。

「んーっ!」

誰か………っ!





―――ガ………ッッ!!




「っがは……ッ」

ずざざざ……っ

鈍い音がしたかと思うと、少女の体は軽くなり、呻き声と土の擦れる音が背後から聞こえた。

少女が恐る恐る背後を振り返ると、そこには地面にのされた変質者。それを認識した少女の体は安堵と逃れられた恐怖からガタガタと震え出す。


「……そのゲス野郎を捕まえとけ。……大丈夫ですか?」

自らの体を抱きしめやり過ごそうとする少女の前から話し声の後、誰かが話しかけてくる声があった。

「……っあ……?」

ビクリと肩を跳ねさせ怯える様子の少女に、声をかけた人物は柔らかな雰囲気を作り再び声をかける。

「…怪我はありませんか?」

「…ぁ……はぃ…」

それが功を奏したのか少女の体からは力が抜け、ゆっくりと顔を上げると、目の前の人物と視線がかち合った。



二人の時間は止まった。









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