Parody Story
□居場所(完)
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『綺麗な髪ですね』
『え?』
目の前には自分より少し年上の少年。
『あ、すみません突然。あまりにも綺麗だったので…』
『いえ…ありがとうございます//』
『…お名前をお聞きしてもよろしいですか?私は……といいます。』
『私は………』
「…ま、………リさま」
「……ん……?」
誰かの自分の名を呼ぶ声に意識が浮上する。
「おはようございますユーリ様。朝食をお持ちいたしました。」
視線をあげるとおつきの侍女が目に入る。
「……殿下は……?」
ユーリは分かり切った答えの問いを問いかける。
「…もう済まされ執務の方に…」
「…そう…」
それから二人は会話をすることなく食事を終えた。
食器を下げるため侍女がいなくなり、一人になったユーリは窓を開け風を浴びる。
…ここはとても平和…国交もよくなったし…政治的にはいい国に嫁いでこれたのだと思う…
けれど…
ユーリは俯き、ぎゅっと拳を握りしめる。
…殿下にはいいことではなかったのだ…
涙がこぼれそうな眼を、ユーリは何とか押しとどめた…。
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