Parody Story

□居場所(完)
1ページ/23ページ




『綺麗な髪ですね』

『え?』

目の前には自分より少し年上の少年。

『あ、すみません突然。あまりにも綺麗だったので…』

『いえ…ありがとうございます//』

『…お名前をお聞きしてもよろしいですか?私は……といいます。』

『私は………』





「…ま、………リさま」

「……ん……?」

誰かの自分の名を呼ぶ声に意識が浮上する。

「おはようございますユーリ様。朝食をお持ちいたしました。」

視線をあげるとおつきの侍女が目に入る。

「……殿下は……?」

ユーリは分かり切った答えの問いを問いかける。

「…もう済まされ執務の方に…」

「…そう…」

それから二人は会話をすることなく食事を終えた。



食器を下げるため侍女がいなくなり、一人になったユーリは窓を開け風を浴びる。

…ここはとても平和…国交もよくなったし…政治的にはいい国に嫁いでこれたのだと思う…

けれど…

ユーリは俯き、ぎゅっと拳を握りしめる。

…殿下にはいいことではなかったのだ…

涙がこぼれそうな眼を、ユーリは何とか押しとどめた…。





.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ