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□(仮)知らない人
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「まあ陛下、またですの?」

―――はやってきたコンラートを部屋に招き入れると苦笑した。

「仕方ないだろう…。どれもこれも欲の塊だ。」

「ふふふ。私もですわよ?」

「君の欲はこっちだからまだいい。」

そう言うと、懐から豪華な装飾品を取り出して―――に渡した。

「ええ。私はあなたの寵愛が誰に向かおうと興味ありません。こうして金品を戴ければそれで。」

コンラートから一心に寵愛を受けていると思われている―――。実際は側室の中での変わり種。こうして毎晩と言ってもいいほどやってくるコンラートと閨を共にすることもなく、金銀を愛する女性。自身の寵愛を奪い合う他の側室たちより、コンラートにとっては話が合うしまた利害関係が一致していたので、隠れ蓑にしていたのだ。

元々政略結婚。愛などない。コンラートはもとより、―――もそう信じていた。

あの日までは…





「ここ二週間陛下はいらっしゃらないわねえ…」
宝石は贈られてくるけれど…

そう呟いた―――に侍女は躊躇いながら口にする。

「陛下は最近後宮入りされた新しいご側室の元へ毎夜通われていらっしゃるみたいで…」

「…そう。まあ当然ね。最初だけでも構わないとなんと言われるかわからないものね。政略結婚でしょうし…」

その話を聞いても案の定―――は心乱れることはなかった。
知らなかったのだ。今までは―――が一番の新参者だったため、コンラートが新しく入った側室といえども二日と続けて通ったことさえなかったという事を…





「あら陛下。ごきげんよう。」

あれから一月あまりが経過してもコンラートが―――の元にこないある日、―――はコンラートを見かけ声をかけた。

「ああ、―――か。久しぶりだな。宝石は気に入ってくれているか?」

「ええ。勿論ですわ。…最近いらっしゃいませんわね?」

「…ああ…」

咎める気はなかったが、つい言ってしまった―――にコンラートは辺りを確認する。そして言った。
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