Short Story
□気持ち
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「…おや?」
珍しく大賢者である村田健が眞王廟から血盟城の魔王の執務室をのぞくと、目当てである魔王であるユーリがいなかった。
「…陛下なら今日の執務は終わったのでコンラートとどこかへ行かれました。」
机に向かい書類を片づけていたグウェンダルが顔を上げないまま村田に言った。
「そうか。なら探しに行ってみるよ。邪魔したね。」
村田は執務室から出て行き、とりあえず中庭に足を進めた。
中庭に近づくにつれ、何やら話し声が聞こえてきた。
「…ははっ、……クらしいね。」
「え〜っ?そうですか?それって褒められてる気がしないんですが…」
「気のせい、気のせい!」
目に入ったのは笑いながら楽しそうに話すユーリとお庭番グリエ・ヨザックの姿だった。
村田は何故かぱっと目をそらし隠れた。
…何をやっているんだ?僕は…
村田は自分の行動の意味が理解できなかった。
「陛下!お待たせいたしました…ヨザック?帰っていたのか?」
どこからかユーリの護衛であるウェラー卿コンラートがやってきてヨザックの姿に驚いていた。
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