Short Story
□未完成な恋心
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第27代魔王渋谷有利。
奴が来て世界が変わった。
混血で正義感が強くて、何も考えていなさそうなくせに何もかも知っているとでも言うような黒く澄んだ目。
最初は反発していた僕やグウェンダル兄上をも認めさせ、皆に支えられながら日々魔王としての職務を全うしている。
だが…最も有…ユーリを認め支えているのは、僕のすぐ上の兄、ウェラー卿コンラートだろう。
魔王就任を宣言すると同時に婚約をした。
民には知れ渡っていないが、城内で知らぬ者はいない。
最初はその美貌で誑かしたのだろうと罵ったのだが、二人が真剣なのが伝わってきて認めざるを得なかった。
まあ僕はそのとき、混血同士お似合いだなどとユーリが聞いたら怒ること間違いなしなことを考えながら二人を見ていた。
…だから気づかなかったんだ。
ウェラー卿が混血だと知った時、裏切られたと、卑しいものだと。認めたくなくても兄なのだと。今までずっとそう思ってきた。
…そうだと信じていた。
…あの日、あの場に行かなければ気づかなかった気持ちにがあると知らずにすんだのに…
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