『今はただ君を想う』


「なーんか最近の棒、変じゃねぇ?」

心が棒に聞こえないように用に言った。

「実は僕もそう思う」

いつも物思いにふけっている棒だが、いつも隙だらけというのはありえない。
心を誰かに奪われているようだ。

「もしかして誰か好きな人でもできたんじゃないかな」

と用が見解を述べると

「お前ら、また俺にナイショで合コンしたなぁ!?」

と心がいきり立った。

「なんでイキナリ話が飛躍するんだよ!!」
「だって出会うなら合コンだろ?」

やれやれと用が肩をすくめる。

「そうとは限らないよ。だって棒だよ?その辺でいくらでもナンパ出来るって」
「そうなのか?ずりーよな俺なんて彼女出来たことないのによー!」
「はいはい、FURARETEブルース歌うならよそでやってね。うっとおしいから」

かなりひどいことをあっさり言ってのけ、用は棒を観察した。
誰かに命を狙われているわけではないからいいが、こうも隙だらけだと返って不気味だ。
(どんな女の子なんだろ)
ここまで棒の気を引く女子というのは。

『深き森の奥に君は』に続く

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