NanoSecond Stories

□My Name Is Swallow
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私は燕。

名もない一羽の燕。

家族も巣も持たない、空を飛び続ける燕。

気流に乗って好きな土地へ飛び立つ燕。

青く気持ちのよい空気に乗って、私はどこへでも飛んでゆく。



彼のいる場所へ。

どこへでも。



遠くから、高い場所から、ずっと彼を見つめていた。


私は彼の上空をくるくると飛び回る。

そんな私に彼は気づかない。


それがソウルの街中でも、東京でも、北京でも。

私は彼を探す天才だ。



3歩歩いたら忘れるだなんて、迷信もいいところ。

大体私は滅多に歩くことなどない。



彼は小さくも偉大な存在。

その空気やオーラは、どんな上空からでもはっきりと確認できる。


最近髪の毛を金髪にした彼は、今まで以上に上空から捜しやすくなった。

くしゃくしゃにセットして立てた短い金髪はまるで、私の同胞達の巣のようで、私はそこで羽根を休めてしまいたい衝動に駆られる。


彼の肩にふいに降りて行きたい感情が胸を掠めて困る。
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