NanoSecond Stories
□eyes to eyes
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出会ったのはお互いのアウェイの地、中国。
夜景が美しい街、香港。
平日発着の、週末に比べて比較的安い料金で設定されている、高級ホテル宿泊の二泊三日のグルメツアーに惹かれて、有給を取って親友と参加した。
しかし。
同行した親友が着いたその日に現地でイギリス人にナンパされ私は別行動を取る羽目になり、仕方なくツアーのメインとなる食事以外を1人で過ごしている時に、ジニに出会った。
恥ずかしながら韓国芸能に詳しくなかった私は、同じホテルに宿泊していたジニとエレベーターで一緒になった時に、
なんだこの人
と思ってしまった。
だって、仕方がないでしょう。
昔っぽい、昭和の匂いがする髪型にちょっと光っているスーツと真っ黒なサングラス。
ヤクザじゃなかったら完全にVシネの世界だよなぁ、と、まじまじとエレベーターの狭い箱の中でジニを眺めてしまった。
ジニが韓国語で何か話しかけてきたけど、私は全く分からなかったので、英語で「ごめんなさい、何を話しているのか私は分かりません」と言うと、あれっ?っていうちょっと照れたような口元でニヤニヤ笑ってた。
そして私は宿泊階で降り、ジニはそのままマネージャーらしき人とそのまま上の方の階へ行く為に箱の中に残った。
次の日の朝、ホテルのカフェではちあわせして、なんとなくの英語で少し話した後、ジニが韓国人だと知った。
私が日本人だと知ると、ジニはいきなり
「アイシテルヨ〜」
と言って私を驚かせた…というかドン引きさせた。
その滑りっぷりがちょっと面白かったので、ここで会ったのも何かの縁だし、と思い、仕事でよく日本へ来るというジニに聞かれるまま携帯の連絡先の交換をした。
まさか、本当に掛かってくるとは思わなかったけど。