桜姫

□再会
9ページ/10ページ

『あなたの父親だってきっとそう

大切な人を守りたかっただけ』

エ「母ちゃんにあいつの何がわかるんだよ!

俺が…あいつのせいでどれだけ周りのやつらに…!」

エースは涙を堪えながら恋歌に怒鳴る。

そんなエースを見て恋歌は優しく微笑む。

『わかるよ

あの人は海賊王ゴール・D・ロジャー

この世界の全てを手に入れた人

そんな人が自分の仲間を大事にしないはずない

人は一人では決して生きていくことはできないのだから

ましてや過酷な航海は助け合っていかないとグランドラインの最後まで辿り着けやしないわ』

エ「それでも俺は鬼の子だって…」

『それじゃあそれを言った人たちは一度でもエースの父親に会ったことがあると言った?』

エ「ううん…」

『会ったこともない人を批判などすることはできない

なぜなら自分の目でその人を見たわけではないから

見極めたいのなら自分自身の目で確かめることよ

人柄は噂や、海軍の評価では量れない

ていう私もエースのお父さんには会ったことないんだけどね

でもいい人だと私は思うなぁ』

エ「何で?

世界的大悪党なんだ!!

皆そう言ってる!!」

『だってそんな悪党の人からあなたのようにいい子は生まれてこないもの』

にこにこと笑いながら言われてエースは拍子抜けする。

エ「そんだけ?」

『そんだけってなによ

それが基準じゃいけない?』

エ「だめってことはないけど…

でも俺もあいつに会ったことないし…」

『そう、だからエースも父親のことを悪く言う資格はないわ

ガープさんに聞いたことない?』

エ「一回だけ…」

『ガープさんは酷い人間だったって言ってた?』

エ「ううん」

『それならその辺の知らない人の言うことを信じるか、エースのことを孫のように思ってくれている人を信じるかはエース次第よ』

エ「…」

『さて、もうそろそろ上がらないと逆上せちゃうね』

恋歌が着替えている間エースは俯いて動くことはなかった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ