桜姫

□再会
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『じゃあまた明日来るね』

ダ「なんだい

あんた結局帰るのか?」

ダダン一家の扉の前でエースに別れを告げているとダダンが家から出てきた。

『今日のところは家に帰ります

急だったもので何の用意も持ってきてませんから

あ、お風呂ありがとうございました』

ダ「ふんなんだ結局明日も来るってことじゃないか」

『はい、明日からお世話になります』

ダ「まぁあんたはまだ礼儀がなってるからね

エースの扱いにも慣れているようだし」

『ありがとうございます

じゃあねエースまた明日来るから』

エ「わかった

一応遅いし気を付けてな

ばいばい、また明日」

『うん、ばいばい』

ダ「ちょっ、ちょっと待った」

行こうとした恋歌を止めたのは以外にもダダンだった。

『なんでしょう』

ダ「あ、あんたこんな暗い森を今から一人で帰るつもりなのか!?」

『はい、それがどうかしましたか?』

何てことはないと言うようにさらっと答える恋歌にダダンは頭痛を覚えた。

ダ「どうかしましたか、だと!?

あんたみたいな女森の獣に襲われて一発で死んじまうよ!!

エースも何ナチュラルに行かせようとしてるんだ!

母ちゃんなら心配なんだろう!?」

エ「いいや、別に」

ダ「ほらみろ!!ってええ!?」

ダダンは怒ったり突っ込んだり大変だなと恋歌は笑ってしまった。

ダ「何笑ってんだ!

あんたのことだろ!」

『あ、すいません、つい…

ご心配ありがとうございます

でもそんなに時間もかかりませんし大丈夫ですよ

ね?エース』

エ「そうだな

母ちゃんなら10秒もあれば帰れるだろ」

ダ「誰があんたの心配なんかっ!


だがこの近くに他の家なんぞあったか?」

『いえ、普通ならもっとかかると思います』

エ「あーもうとりあえずこれ以上遅くなるわけにはいかないからもう母ちゃん帰れよ

あとは何とか説明しとくしさ」

『そう?

じゃあ帰るね』

恋歌が背を向けて森に入っていく。

ダ「ちょっ…」

ダダンが手を伸ばしたが瞬き1つするとそこには恋歌はいなかった。

ダ「はぁ?

ちょっとエースどういうことだい!!」

エースを見ると恋歌の去った方にひらひらと手を振っている。

そしてそのまま自分の寝床である場所に行こうとする。

ダ「ちょっと待ちなエース!!

あんた説明してくれんじゃないのか!?」

エ「俺がそんなことするかよ」

エースは一度も立ち止まることなくすたすたと行ってしまった。

ダ「ったく、結局あの女も厄介者じゃないかー!!」

夜も遅い森でダダンの怒号が響いていた。
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