□囚われた姫と信頼と…
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『あれ?』

朝恋歌が目を覚ますとエースに抱き締められながら眠っていた。

エ「ん?

お、起きたか

昨日親父のとこで寝ちまったから俺がこっちに連れてきたんだ」

もぞもぞ動いているとそれに気づいたエースが目を覚ました。

『そっか、ごめんね』

エ「いや、気にすんな

それよりまだ起きるには早い時間だけど…」

『何か目が冴えちゃったし外の空気吸ってきてもいいかな?』

エ「ああ、」

エースに腕をほどいてもらいベッドから立ち上がり、そのまま外へ出ていった。

エ「ふぅ…

まぁ笑えるわけねぇか…」

いつもなら目が合えば笑ってくれる恋歌の笑顔を思い出してエースは一人ため息をついた。














外に出た恋歌は少しひやりとした風を全身に受けた。

いつもなら肌寒く感じるだろうが今はそうは思わなかった。

近くの手すりに腕を乗せてもたれかかる。

水平線の上には朝日が顔をだしかけていて、空が赤く染まり出している。

一瞬強く吹いた風が恋歌の腰まである金の髪を靡かせる。

それを右手で押さえながらフランキーな預けてきた髪飾りがあった部分に触れる。

『(この髪がなかったら…

元の黒だったら何か変わってたのかな…)』

桜姫の一番の特徴は腰まである金の髪。

この世界に来た時は肩までしかなかったため、あまり気にされてはいなかったが、腰まで伸びてしまった髪は桜姫の象徴にもなってしまった。

神様に言って変えてもらった髪の色も今となってはそれでよかったのかとあの時の軽い気持ちで言った自分を責めたくなる。

『(でも今さら髪の色なんか変えたところで何にもならない

私には心強い信頼できる家族がいる

負けない、負けるわけにはいかない

帰ってきたときにもう離れないと約束したもの)』

髪を押さえていた手を離して太陽に背を向けてエースの部屋へ歩き出す。

もう朝日は水平線から姿を全て見せていた。






















それから数日、刀たちから何度か連絡が入り黒ひげがいくつもの島を荒らしに入ったそうだ。

だが、刀に防がれ恋歌が対策をしてから死者は一人も出ていないそうだ。

黒ひげのいる島に恋歌が一人で行こうとするのを白ひげが禁じ、全員で迎え撃てるところまで待とうということになった。

そしてそんな思惑を知ってか知らずかある日一人の刀が黒ひげより言伝てをされてきた。

『向こうは何て言ってるの?』

「これ以上殺さないかわりに桜姫本人を出せと言ってきました

なぜか主がこの白ひげ海賊団にいることも薄々感ずいていたようで…

向こうが指定してきた場所に主一人で来いとのことでした」

エ「ふざけんなっ!」

恋歌にそう報告する刀の言葉を聞いて側にいたエースの怒鳴り声が船に響いた。

エ「一人で来いだと?

そんな簡単に親父が行かせるわけねぇだろうが」

「だが…」

『まだ何かあるの?』

言いにくそうにする刀に続きを促すがなかなか話そうとしない。

マ「何かしら恋歌を誘き寄せる何かがあると考えるのが妥当だろうない」

サボ「だな

何もない状態で母さんを誘い出すことはできないだろうし、白ひげ海賊団にいるってことを予測しているんだとしたら…」

ニ「自分の居場所を簡単に教えてしまえば白ひげ海賊団全員がその場所に行くことになる」

『その私だけを誘き寄せる何かが黒ひげのところにあるのね』

「はい…

黒ひげは指定してきた島の数人の女性を…人質として主を呼んでいます」

言いにくそうに絞り出した声でそう言うと白ひげ海賊団の目に怒りが宿る。

エ「どこまで卑怯な手を使えば気がすむんだ!」

マ「確かに親父の船に乗ってるやつにそれを見捨てられるやつはいねぇよい…」

サボ「殺されたくなければ母さん一人で来いということか…」
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