□喧嘩と本音
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エースと言葉を交わすことも、顔をあわせることも、見かけることもなくなってから三日。

最初のうちは意図的に避けているのはエースの方だったのだが、今では恋歌がエースの気配を感じると遠くに行ってしまうようになってしまった。

部屋も記憶がないときに使っていた部屋に恋歌が移り、エースの部屋の前すら通ることもしなくなった。

『はぁ…

なんでこんなことになったんだろ…』

エースと一緒にご飯を食べなくなってから食欲がなくなり、ほとんど部屋に引きこもっている状態になってしまっている。

時折心配してくれているクルーたちが訪ねてきてくれるが、返事を返さず顔もあわせてはいない。

お腹は空くのだが、外に出る気が全くと言っていいほど起きないのだ。

『嫌われたのかな…

私がいつまでも怖がってばかりで我が儘言ったから…』

考えたくもないことが次々と頭を過り、涙まで溜まってくる。

いらないと言われたらどうしよう…

嫌いだと言われたらどうしよう…

『でもあの時は…』

あの時、恋歌がエースに抱かれることを拒否したのにはちゃんとした理由があったのだがそれをエースは知らない。

だけど気持ち悪い感覚はどうしても消したかった。

覚えておくのならば愛しい人の手の感覚がよかったのだ。

その事もエースは知らない。

世界が家族で、その中でも一番大切な存在に避けられてしまっては自分がこの世界にいる意味までもわからなくなってしまう。

変えたかった未来は変えた。

救いたい命は救えた。

なら、これから自分がすべきことは?

『もう…わかんないや…』

自問自答を繰返し、結局答えが見つからないままベッドの上で膝を抱えて、膝に額を押し付ける。

そして一人、声を殺しながら涙を流す。


















一方エースの方もかなりのダメージを受けていた。

エ「はぁ…」

エースは隊長という立場なので部屋に引きこもるわけにはいかず、部屋の外に出てはいるが明らかに元気がなかった。

サボ「あのさぁ、そんな重っ苦しいため息つくぐらいなら母さんとこ行ってこいよ」

そんな元気のない状態のエースに副隊長であるサボはずっとイライラしている。

親友として兄弟として家族として、女々しいエースを叱咤しているのだが、いまいち伝わらない。

エ「行ってどうなるよ…」

サボ「仲直りしてこいって言ってんの!

母さんは引きこもりっぱなしだし、お前はずっとそんな調子だし!

見てるこっちの身にもなれってんだよ!」

エ「別に喧嘩したわけじゃねぇよ

どうやって仲直りなんかすんだよ」

しれっ、と返すエースにサボの怒りのパラメーターもどんどんあがっていく。

サボ「だから話し合いでもなんでもしてくればいいだろ!?

なんで行かねぇんだ!」

エ「多分恋歌には嫌われたはずだからよ

俺の顔なんか見たくもないはずだ

だからほっといてくれ」

どこかに立ち去ろうとするエースの肩をサボが強くつかんでエースを睨み付ける。

サボ「お前それ…本気で言ってんのか?」

エ「ああ?

離せよ」

サボ「本気で言ってんのかって聞いてんだ!」

ギリギリと肩をつかむ強さが増し、エースが眉間に皺を寄せる。

エ「本気だったらなんだ」

サボ「ふざけんな!」

サボがエースの顔面を殴り飛ばした。

咄嗟のことで受け身も取れなかったエースは近くの壁に激突する。

そのせいで壁に穴が開いてしまった。
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