□"次"への作戦
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二人が仲直りした最初の朝。

エ「おはよ」

『おはよう』

エ「行くか」

『うん』

エースは約束通り朝食に恋歌を誘いに来ていた。

昨日酷かった恋歌の隈は綺麗になくなり、目の腫れもひいている。

二人仲良く横に並んで歩く姿は、いつも通りの雰囲気と、笑顔だった。











サッチ「まぁうまく仲直りできたならよかったよ」

マ「お騒がせなやつらだよい」

『はは…すみません』

二人で横に並んで座り朝食をとっていると、前の席にサッチとマルコが自分の分の朝食を持って座った。

座って開口一番この言葉を言われた恋歌は、苦笑いしながら二人に謝る。

サッチ「でも聞いたよ?」

『何をですか?』

にやにやしながらいつものように料理にがっついているエースを見る。

嫌な予感がしたエースは手を止めてじっとサッチの目を見返す。

サッチ「恋歌ちゃんは全部エースがいいそうじゃないか」

エ「ぶっ…!!」

『な、何で知ってるんですか!?///』

さらりと言われた言葉にエースは口に入っていたものを全て吹いてしまい、恋歌は真っ赤になった。

マ「汚ねぇよい」

エ「あ、わり

じゃなくて!何でサッチがそのこと知って…

まさか…!」

心当たりがあったエースはすごい形相で後ろを振り向いた。

振り向いた先にはこそこそと食堂を抜け出そうとするクルーが数人。

エ「喋りやがったな!」

「し、仕方なかったんですぅー!」

エ「待てこら!」

脱兎のごとく逃げ出したクルーをエースが追いかけていってしまった。

食事もそのままにして…。

『……行っちゃった…』

サッチ「だはは!

照れ隠しで逃げやがったな!」

机をばんばん叩いて爆笑するサッチにマルコの拳骨が落ちた。

マ「うるせぇよい

それにあんまりからかってやるな」

サッチ「す、すみません…」

拳骨したことを怒鳴ろうと思ったサッチだったが、マルコの鋭い眼光に素直に謝った。

サッチ「でもさぁ恋歌ちゃんもなかなか大胆なこと言うよね」

『え?』

殴られた場所を擦りながらエースが出ていった扉を呆然と見ていた恋歌に話しかける。

サッチ「今時こんなに一途な女の子いないよ

全部エースがいいなんてさ」

『わ、私は…ほんとのことを言っただけで…///』

自分がどれ程大胆なことを言ったのか自覚はあるらしく、顔を真っ赤にして俯く。

するとぽん、と軽く頭に温かい手が乗った。

サッチ「恋歌ちゃんはそれでいい

その心がエースを救ってる

だからそのままでいてくれ」

『はい…』

顔を上げれば優しく笑うサッチがいて、恋歌もサッチの言葉に笑って返した。

マ「ところで恋歌」

『はい』

マ「お前に頼みたいことがあるんだけどよい」

『?』











エ「はぁ…特別…はぁ…戦闘訓練の…はぁ…


相手!?」

あのクルーたちを全力で追いかけて焦がしたあと、マッハで帰ってきたせいか息切れの激しいエース。

だが、言われた言葉に目を見開いて驚く。

マ「ああ

俺と親父で話し合って決めたんだよい」

エ「なんでまた急に?」

呼吸を落ち着かせたエースは元の椅子に座り、マルコの話を聞く。

マ「最近人数が増えすぎて下っぱまで訓練が行き届いてねぇんだよい

それはお前もわかってるだろい?」

エ「まぁ全員を見きれてないのは認めるけど…」

マ「そこでだ

ひとつの隊をさらに二つにわけてそこそこ使えるやつと、まだまだ使えねぇやつにわける」

エ「ふんふん」

マ「恋歌にはそこそこ使えるやつと戦ってもらうよい

まだまだ使えねぇやつは恋歌に挑戦する権利すら与えられねぇ」

エ「ふんふん」

マ「だが、この船に乗ってるのは個人的に強い弱い関係なく馬鹿みたいに強さを求めてるやつらばかりだ

親父を守るためにも必要な力をやつらは持ちたいと思ってるはずだよい」

エ「ふんふん」

マ「強い相手と戦えば戦うほど成長して強くなる

恋歌と戦いたければ強くならなくちゃいけねぇってことだよい」

エ「んー…つまりある程度まで強くならねぇと恋歌ほどの実力者と実践訓練できねぇってことだな」

マ「そういうことだよい」
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