桜姫

□エースとの約束
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しかし恋歌の足も体も落ちることはなかった。

地面はないはずなのに恋歌は歩いている。

エ「なん、で?」

手を付きだした形のままエースは固まる。

それもそうだろう恋歌は羽も無しに空中を歩いているのだから。

まるでそこに地面があるように、自然に。

恋歌は途中で歩みを止め、振り返ってエースを見る。

『普通に空中も歩けるのよ!』

何度も見てきた満面の笑みだった。

しかしエースは拳を握りしめて俯きながら震えている。

その事に気づいた恋歌は走ってエースの所に戻ってきた。

『どうしたの?

どっか痛い?』

しゃがんでエースに訪ねてみるが答えてくれない。

困ったように恋歌が首を傾げているとエースに頭を叩かれた。

『あいたっ!』

エ「…んで、何で先に大丈夫だって言ってくれないんだよ!!」

震えた声で怒鳴られた。

恋歌がきょとんとしているとエースは再び怒鳴り出す。

エ「俺はっ母ちゃんが落ちると思って本当に心配したんだ!

また人がいなくなるって…

俺の前からいなくなるって…」

悲痛そうに言うエースに言いたいことを理解した恋歌は俯くエースの両頬に自分の手をあてて顔をあげさせる。

視線をエースと合わせてゆっくりと話す。

エースの目は潤んでいて今にも泣き出しそうだ。

『エース、私はあなたを残して決して死んだりしない

勿論エースも私よりは先に死なせない

私が守るからね』

笑って言えばエースは呆れたように笑った。

エ「じゃあどっちが先に死ぬんだよ」

『あ、ほんとだ

私たち二人とも長生きできるねー』

エ「なら母ちゃんの方が先だな

寿命なら俺の方が長いだろうし」

そう言ってエースは笑う。

『(よかった

もう泣いてない…でも)

心配してくれてありがとうね』

エ「おうっ」




それからは火を吹いたり、氷で何か作ってあげたり、体の一部を色々変えたりして遊んだ。

『楽しかった?』

エ「うん!



母ちゃん…1つ聞いてもいいか?」

急にエースが真剣な顔になって聞いてきた。

『何?』
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