僕のヒーローアカデミア

□1話
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見舞いを素早く済まし、まだあの男の子がいますようにと祈りながら門まで走らない様に気を付けて急いで戻る。

病院の自動ドアを抜けると先ほど別れた場所に立っているのが見えてほっとする。

『よかった

待っててくれたんだね』

「・・・うん」

『じゃあ帰ろうか

お家まで案内してくれる?』

笑顔で右手を差し出せば自分の左手を数秒じっと見た後控えめに握ってくる。

『あ、そういえばまだ名前も言ってなかったね

私雄英高校1年の恋歌っていうの

君は?』

「・・・しょうと」

ぼそっと自分の名前を告げた男の子は不安そうに恋歌を見上げる。

焦「ねぇ・・・・・これって・・・誘拐じゃないよね?」

『え!?

ああ!そうか!

どう考えても怪しいよね!?

見ず知らずの女に一緒に帰ろうって言われてお家どこなんて・・・


が、学生証とか見せたらいい?いやでもそんなの意味ないか・・・

あ、私の保護者にでも電話・・・いやいやそれも共犯者とかだったらどうすんの・・・』

焦凍の問いにうーん、と考えだした恋歌にふっと笑った焦凍はぎゅっと手を握る。

焦「もういいよ

お姉さんが怪しくないのは十分わかったから」

『え!?なんで!?』

腑に落ちない恋歌は首をかしげるが、焦凍に手を引かれ病院の敷地から出る。












『ここから焦凍君の家までどのくらい?』

焦「20分もあれば着くと思う・・・」

思ったより遠いなと思ったが、まぁ今日一日限りのことだしいいかと思った。

一応遠回りをして帰ることになるので兄に連絡を入れておこうとスマホを取り出しメールを送った。

焦「お姉さん、雄英の人なんだ」

『うん、今年入学したばっかりだけどね』

焦「雄英ってすごく入るの難しいんでしょ?

お姉さんも強い個性を持ってるの?」

無表情でじっと見つめてくる目に恋歌は、あー・・・と答えにくそうに苦笑いをしながら頬をかく。

『正直私の個性は全くヒーロー向きじゃないんだ・・・

ほとんどの人が没個性って言うと思うよ・・・』

恋歌の答え方にまずいことを聞いてしまったのかと思ったのか、焦凍から”ごめん”と小さく聞こえた。

『ううん!!

なんかごめんね!気にしないで!


それよりもっと楽しい話をしよう

焦凍君は好きなヒーローとかいないの?』

小学生に気を遣わせてしまったことに申し訳なさを感じながらも、この話題であれば大丈夫だろうとヒーローの話題を出す。

焦「ぼ、僕ね!!オールマイトが好き!!」

興奮気味に目をきらきらさせながらオールマイトのどこがすごいのか、最近ではどんな事件を解決したのかを語りだす。

『(さすが人気1ヒーロー

話題に困ったときはあなたの名前を借ります)』

焦凍が熱く語るオールマイトの話に相槌をうちながらゆっくりと歩く。
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