□たとえ君が…
2ページ/23ページ

食堂に入ると既に他の隊員たちで賑わっていて食事中とは思えない騒がしさだった。

空いてる席を探していたエースだが、マルコに手招きされてこっちに来いと言われる。

食べるものを取ってくるから先に座っててくれと言われ恋歌はひとりでマルコの方に向かう。

『おはようございます』

マ「おう、どうだい

ゆっくり眠れたかよい?」

『はい

ありがとうございます』

マルコの前な座ると近くには昨日自己紹介してくれた隊長たちが何人か固まって座っていた。

サッチ「恋歌ちゃん何か食べないの?」

『あ、今エースが取りに行ってくれていて…』

サッチ「なるほど」

イ「何か思い出したことあるかい?」

『いえ…すいません…』

ジ「ゆっくりでいいんだ

無理矢理思い出すことはない」

申し訳なさそうにする恋歌に隊長たちは優しく諭す。

エ「ほいよ」

暫くして帰ってきたエースの両手の皿には山盛りに積まれた料理があった。

『あ、ありがとう』

その量の多さにこんなに食べれるものなのかと思ったが、食べ終わる頃にはそれは杞憂に過ぎなかったと思うことになる。

エ「…なぁひとつ聞いてもいいか?」

リスのようにほっぺたに料理を詰め込んでエースが話し出す。

マ「なんだよい」

エ「なんでニーナのやつあんなに不機嫌なわけ?」

エースがフォークでさした先には皿に八つ当たりしながらひとりで朝食を取っているニーナがいた。

マ「それはこいつに聞けよい」

こいつと言ってエースの問いをパスしたのは近くに座っていたサボだった。

サボ「…んー、俺としては心配しただけなんだけど」

エ「何したんだ?」

サボ「いやさ、昨日の戦いでニーナ足撃たれたろ?

だからまぁ…」

エ「それの心配して怒ってんのか?」

サッチ「違う違う!

実はお前らが来る前にサボのやつニーナちゃん抱えてここまで来たんだよ

しかもお姫様抱っこ!」

横から入ってきてにやにやしながらべらべら話すのはサッチだ。

そのときのことを思い出したのかマルコたちは肩を震わせて笑っている。

サボ「それが恥ずかしかったらしくてさ

みんな見てるのに!って怒られた」

そう言ってはぁとため息をついたサボの肩をエースが慰めるようにぽん、と一回叩いた。

エ「まぁどんまい

照れ隠しだから大丈夫だって」

サボ「ここから帰るときも送ってくつもりだけど…」

食べ終わったあとも食堂に残っているのはニーナが食べ終わるのを待っているらしい。

『お二人は本当にお互いを想いあってるんですね』

ニーナを気にするようにちらちら見ていたサボをにこにこ笑いながら言ったのは恋歌で、その言葉にサボはえ?、と反応した。

『だってさっきからニーナさんもサボさんのこと何度も見てますし、サボさんもずっと気を張ってニーナさんのことを気にかけてますよね?』

サボ「ニーナが見てる?」

『結構頻繁に見てますよ

一瞬ですけどね』

じー、とニーナを見出したサボの視線を感じたのかニーナとサボの視線が交差した。

その直後にぼんっ、という効果音がつきそうなほど真っ赤になったニーナは勢いよく立ち上がって食堂から出ていこうとする。

サボ「あ!じゃあ俺も行くな!

それから恋歌、俺に敬語いらねぇし、普通にサボって呼んでくれ!

じゃあな」

それに続いて早口でそう言うとサボも食堂から出ていった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ