□タコパニック
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春島を出航してから数日。

白ひげ海賊団は次の島にまだ辿り着けないでいた。

次の島にはまだ数日かかると言われクルーたちは暇をもて余していた。

エ「暇だなぁ…」

『そうね…』

遊ぶ気力もなく、手すりに大勢で並んで釣糸を垂らしていた。

食糧も尽きかけているため、魚を釣ろうとしているのだ。

だが、横一列に並ぶクルーたちの顔には覇気が全く感じられない。

恋歌もエースの横で足をぶらぶらさせて手すりに座っているだけである。

エ「なんか釣れねぇかなぁ…」

サボ「今日は何にも釣れてねぇからなぁ…」

ニ「しっかりしなさいよ」

サボ「って言われてもなぁ…」

恋歌の横にサボとニーナもいるが、サボはやる気がなさそうだ。

エ「ん?」

『あ、引いてる』

サボ「こっちもだ」

ぼけっ、としているとエースとサボの竿に何かかかったらしい。

「こっちもきたぞ!」

「俺も!」

なぜか急に次々に上がる声にクルーたちも気合いを入れて竿を引く。

ざばぁ、と海から釣れたものは…。

エ「タコ?」

特に特別な所はない普通の大きさのタコが釣れた。

サボ「俺もタコ」

見ればほぼ全員が同じタコを釣り上げている。

エ「タコの大群でも通ったのか?」

『さぁ?』

釣竿にぶら下がった状態のタコを眺めていると、ふと目が合った気がした。

『え?』

きらんとタコの目が光った様な気がしたあとに、嫌な予感がして手すりから降りた。

エ「恋歌?」

『そのタコ近づけないで…』

エ「?タコ嫌いなのか?」

不思議そうな顔をするエースが振り返ると同時にタコが竿と一緒に飛んできた。

そしてぴとっ、と恋歌の足首に引っ付いた。

背筋がぞくっ、としたような気がしてタコを外そうとするが吸盤で引っ付かれていて離れない。

ニ「きゃあ!」

サボ「ニーナ!」

恋歌がタコと格闘していると横でニーナも胸の辺りにタコが引っ付いていた。

エ「この!離れやがれ!」

エースが引っ張ってタコを剥がそうとするがなかなかとれない。

「きゃあー!!」

あちこちで女の悲鳴が上がり始める。

回りを見るとタコがナースたちや女戦闘員を追いかけている。

タコとは思えないスピードで…。

『な、なんかこのタコ嫌だ』

エ「離れねぇー!!」

サボ「なんだこいつら!」

力付くで引っ張れば取れるかもしれないが、恋歌やニーナの体までついてきてしまう。

ニ「な、にこのタコ!

変なとこ触んないで!」

胸の辺りにタコがついてしまったニーナはタコにいらいらしている。

サボ「ちょっ…///

落ち着けって!///」

服を脱ぎ出したニーナに顔を赤くして止めるサボ。

服ごとタコをぽいっと捨てて肩で息をする。

サボ「ったく…むちゃくちゃだな」

サボが着ている上着をニーナに着せてやる。

ニ「なんかこのタコ…

女ばかり狙ってない?」

サボ「言われてみれば…」

タコが追い回しているのは女ばかり。

捕まってしまったのも女だけだ。
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