航海日誌「夢現」


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あれから私は何をするでもなく、ただソファーの上で背凭れに頭を乗せ天井を仰いでいた。

やっぱり寝れないか。

下ろしていた目蓋を上げれば、見知った顔が逆さに映った。


『・・・・・』

「・・・・・」

『・・・・・』

「・・・・・何か言えよ」

『・・・さっきぶりですね』

暫しの沈黙の後。

それから、もう驚きもしませんよと続けると、ゾロさんは少しだけ睨むような目で私を見た。


「そうじゃねェよ」

『え?』

「目が覚めるの、わかってたんだろ。何で言わなかった」

『バレてましたか』


意外と勘がいいらしい。
でも怒りそうだから言わないでおきます。


「同じなんだ、そんくらいわかる」


同じ・・・、ふむ。


『もしかして、心配してくれました?言わずに消えて』

「、あァ?」

『私はゾロさんが消えるのを初めて見た時、心配しました』

戻れたのかなって。

また、会えるかなって。

「・・・俺は別に、」

『二度寝して来てくれたんですか』

「ッ・・・・・眠かっただけだ」


小さく舌打ちが聞こえたけど、耳が少し赤いので怖くないですよ。



『よく寝ますねぇ』

「・・・うるせェ」





答えどころか、考える事すら放棄したのは

嬉しかったから。
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