復活

□過ぎていく日常
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 放課後。夕闇が音を立てて迫ってくる時間。
 
 外では野球部が部活動に汗を流していた。そこには、山本の姿が無いわけがなく。
 バットを思い切りふり、ホームランを連発している姿がたまらなくかっこよくて、末期だな。と思う。こんな些細な事に胸を締め付けられるなんて、馬鹿げていると、思った。

 同時に切なくなった。

 こんなにも山本に依存している自分に、こんなにも惨めで馬鹿な自分に。
 あの時、何かを言っていれば何か変わったと思う。何でだ。とか、嫌だとか。でも、自分はそんなに素直で綺麗な人間でもないし、ましてや十代目みたいな強く、自分の思ったことを口に出せるほど賢くも無い。
 やっぱりただの馬鹿だと思う。苦しいとすら思う。


「山本ーー!」


 黄色い歓声が、2階にある1年教室まで届いてきた。
 言わずもがな、山本ファンの女共だ。あの、爽やか笑顔がいいらしい。

 どこがいいんだか。

 俺の心の中に黒いものが生まれる前に、俺は、あの群集に突っ込みを居れてやった。
 まるで、秋葉のヲタクみたいだ。
 
 そんな、雲雀が見たら噛み殺しに行きそうな雰囲気のフェンス越しを俺はボーと見つめている事しか出来なかった。
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