復活
□過ぎていく日常
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「ただいまー」
誰も居ない薄暗い部屋に、己の声が響いた。
誰も居ないと知りながらこんなことを口走ってしまうのは、山本のせいだと思う。ずっと山本が家に帰ってからの作法とか、言わなくちゃいけない言葉だとか。色々言っていたからだと思う。
部屋を見回してみる。
家具も散らばるほどしか置いていない殺風景な部屋には、山本との思い出がぎっしり濃縮されていた。
山本と見た、野球中継。
山本と寝たベッド。
山本が手に取った本。
全てが山本で埋め尽くされていた。こんなに苦しい事は無い。別れてもなおこんなに未練たらたらなんて、十代目に顔向けできない。
獄寺は、一人、家の中で泣いた。
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