復活
□風邪
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「・・・でら・・・獄寺!」
山本の声が聞こえた。かなり遠くからだったが。はっきりと聞こえた。
その声を頼りに、目を開いた。すると、そこは、山本の家の。しかも、山本の部屋だった。
日本の昔ながらの木目の天井が見える。
「獄寺・・・」
心底ホッとしたマヌケな顔で、こちらを見つめてくる。
何でそんな顔してんだ。と、明るめに言葉を紡ごうと思ったが、口の中がカラカラに乾いている事に気が付く。口腔内にある唾液が、口と舌にくっついて、しかも、少しネバネバしていて気持ちが悪い。
上体を上げようとしたが、体がダルいことにも気が付く。熱があるようだ。
そういえば、体育の時間に倒れたんだっけ。と、他人事のように思い出す。
「大丈夫か獄寺?なんか欲しいもんある?」
山本が偉く必死に問い掛けてくる。そこまでヤワじゃねー。と思ったが、口に出さない事にした。
「どうした獄寺!?なんで喋んねーの!?」
獄寺は、フッと笑みをこぼした。
たったこれだけのことで嬉しい。と思う自分が居る事に。
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