復活
□ウェイター
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「ミラノ風ドリアになります」
人のいい作り笑顔で、お客の前に、ドリアを置いた。
オレ、山本武。いろいろあって、並盛町一人気があるという、ファミリーレストランで、ウェイターやってます。並盛町一人気があるレストランなので、それなりに、自給良い。
なぜ、今、オレがこんなところで働いているのかと言うのかと言うと、内緒だ。
別に、恋人の為。とかでもないし(と言うか、居ない)お金が欲しいわけでもない。だから、ある意味、意味のない仕事をしているわけである。アルバイトのため、シフト変更も多く、野球部の練習も、たまに休むくらいなのである。
そろそろ、この仕事も止めどきか。などと、お客の注文を取っていたとき。
カランカラン。
レストランのドアを押し開けて、男子高校生二人が入ってきた。しかも、制服は、うちの学校と同じもの。片方の茶パツの男子生徒は知っていたものの、色素の薄い、アクセサリーをジャラジャラつけて、いかにも、校則違反まるだしな、男子生徒は、見た事のない顔だった。
友達だし、俺が、運ぼうかな。と思い立ち、友達の方に近寄る。すると、校則違反丸出しの方の生徒が、意外と、綺麗な顔をしている事に気がついた。
「ツーナ」
「あ。山本!」
ツナは、いささか意外そうな顔をして、こちらを見た。多分、野球バカと言われているヤツが、こんなところで、バイトしてるとは思わなかったのだろう。
「ツナ・・煙草は吸わないよな」
一瞬、煙草は吸うのか?などと聞きそうになった自分をいさめる。高校生が煙草を吸うわけがないじゃないか。しかも、ツナだぞ。
ふと、横に居る男子生徒を見ると、露骨に嫌そうな顔で、オレのほうを見てきた。
オレなにか、こいつを、嫌がらせるようなことやったか?
考えてみるが、答えが見つかるはずもなく。そして、早く席に着かせないと、店長に怒られる。と、思い立ち、少々足早に、禁煙席に案内する。
「じゃぁ、決まったら、ボタン押して呼んでくれ」
「うん」
踵を返して、厨房に帰ろうとしたとき、行き成り、男子生徒に呼び止められた。
「さっきから聞いてれば、お前は十代目になんてくち聞いてんだ!」
立ち上がった、男子生徒は、行き成りオレの、胸倉を掴んで怒鳴った。てか、十代目って誰だよ。組長?
その、大きな声に、店内にいた客全員が、オレと、男子生徒のほうに、痛すぎる目線を向ける。あ・・。ヤバイ、客とごたごたを起こすと、給料下げられるんだよな・・・。頼むから、止めてくれよ・・。
「止めなよ、獄寺クン・・ッ!」
ツナが、必死で、獄寺と呼ばれた男子生徒を、いさめようとする。心なしか、ツナの顔が真っ青だ。
すると、獄寺は、何かに気付いたように、オレの胸倉を掴んでいた手を、下ろし、もとの席に、座りなおした。
「・・ッ!すいません、十代目・・」
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