短編
□拍手
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夢オチシリーズ
@猫耳
心地よさそうに眠る一方通行に膝枕をしながら、今朝の夢を思い出していた。
カーテンから透けた日差しで目を覚ます。
「ふぁ、おはよ」
欠伸混じりに一方通行に声をかけ、気付いた。
彼の頭に猫耳が生えていることに。
――ま、前から猫っぽいとは思ってたけど……本当に生えちゃった。
「ンゥ……」
不思議とあまり衝撃はなくて。
それよりも息の漏れる声にごくりと咽喉を鳴らしてしまう。
そっと彼の白い耳を触ろうとしたところで――
「ナニしてンだァ?」
……彼は目を覚ましてしまった。残念。
「ア、一方通行……猫耳生えてるよ」
「はァ?それがどォかしたかよ」
寝ぼけているのだろうか。
彼は今の始まったことじゃないとばかりに、再び睡眠世界へ旅立とうとしていた。
「……いいのかな」
一方通行が眠るのなら、私は先ほどの続きをするまでだ。
彼の耳の付け根を触ってみる。
するとそれはピコピコと動いた。
――やっぱり本物なんだ。
次は咽喉をごろごろと触ってみる。
彼は気持よさそうに咽喉を鳴らした。
普段険のある表情をしているせいか、その様子は可愛らしい。
思いのほか、本格的に猫に近いようだ。
次は猫じゃらしとマタタビ試さなくっちゃ。
pipipi...
「オイ、目覚まし鳴ったぞ」
「……ん?」
回想終了。
――一方通行の咽喉、ごろごろしたいなぁ。
さらさらと煌めく髪を撫ぜていた手を、咽喉にやってくすぐってみた。
やはりごろごろという音は鳴らない。
そればかりか咽喉の違和感に一方通行が身を捩ったので手を離す。
しばらくすると彼はもっと撫でろというように私の腹の方へ頬を寄せてきた。
――ごめんね。
「まぁいいか」
これはこれで可愛らしいから。