長編

□現在
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日射しが強くなってきた頃、一方通行はコンビニに来ていた。
買うものを選んでいると上条から声がかかる。

「同居人はもう良いのか?」
「あー……オカゲサマで」
「なら良かった」

顔も知らぬ他人であるというのに上条はほっとしたというような顔をした。
それを見て、一方通行はコイツは善人なのだなと思う。
そして上条が片眉を持ち上げたのに気づく。
自分の肩あたりを見ているようなので自らもそちらに目をやると、ナマエが立っていた。
胸には先程選んだものらしいファッション誌を抱えている。

「きちゃった。知り合い?」
「……そんなトコだ」
「俺は上条当麻。えっと」

戸惑った様子の上条に一方通行が紹介した。

「こっちはナマエ。この前までくたばってた奴」
「っていうと同居人って……」
「あァ、こいつ」

二人の会話を聞き、ナマエが話に混ざってくる。

「えーと。私が風邪ひいてたの知ってるの?」
「俺が雑炊の作り方を教えたんだ。食べたんだろ?」
「うん。上条くんだったんだ。誰に教わったんだろうって不思議に思ってたんだよね。おいしかったよ」
「作ったのは一方通行だけどな。それはなにより」
「一方通行暇そうにしてるから今度遊んであげてね」
「あァ?!何勝手に言ってやがる」
「勿論、今度ゲーセンにでも行くか?」

一方通行の声を無視して上条は返事をする。

「はァ?」

ナマエの方も一方通行を気にすることなくじゃあもう行くね、とレジの方へ向かった。
二人に気を使っているつもりらしい。
一方通行は眉間に皺を寄せ、不機嫌なオーラを醸し出している。
上条は意外なものを見たように口を開いた。

「まさか同居人が女の子だとは……上条さんびっくりですよ」
「オマエントコもだろォが」
「あー、インデックスか。まぁ成り行きでな。そっちは?付き合ってるのか?」
「は?!……オマエらと同じようなモンだろ」

関係を聞かれ、一方通行は動揺してしまう。
喧しくなる鼓動に眉間の皺を深くした。
それに対し上条は顔を綻ばせながら一方通行にとっての爆弾を投下する。

「そっか。いやぁ、珍しくタイプっぽい子に会えて上条さん嬉しいですよー」
「あァ?タイプ……?」
「寮の管理人のお姉さん。同い年っぽいけどな」
「お姉さン……そォかァ?」
「そうだろ?」
「……いや、ねェよ」




コンビニを出て、一方通行は考える。
上条はナマエがタイプに近い、と言った。

――ナマエに上条を近づけたくねェな。

シスターの言っていたことを思い出す。
一方通行を女と見間違えた時の発言だ。

――また女の子連れてきてー!

上条は女の知り合いが多いのだろうか。
上条自身は人は良さそうだが、危険だ。
いや、上条に限った話ではない。
男がナマエに近づくこと自体嫌なのだ。
そこで一方通行は気がつく。
ナマエに男の知り合いがいるかどうかも知らないことに。



考えているうちに部屋の前まで着いていた。
ドアを開く。
ナマエは買ったばかりの雑誌を読んでいた。
一方通行は買ったものを冷蔵庫に直していく。

「おかえりー」
「……おォ」
「へへ、あなたの友達初めてみたよ」

寝室に入ると、ナマエは嬉しそうに笑いかけてきた。
一方通行は気まずそうに目をそらした。

「別に友達じゃねェし」
「そう?でも上条くんは友達と思ってそうだよ」
「……」

一方通行は何か言いたげに口をつぐんでいる。
ナマエは雑誌から目を移し首を傾げた。

「どうしたの?」
「……ナマエは、好きな奴とかいるか?」
「えっ」

ナマエは頬を赤らめ、照れるように答えた。

「いない、かな。ごめんね恋愛相談としちゃ頼りないかな」
「俺の話はしてねェ!」

何か勘違いしてる様子のナマエに憤慨すると、一方通行はベッドに腰を下ろした。

「ならイイ」
「……そっか」

ナマエは戸惑う様子を見せながらも再び雑誌に目を落とした。




to be continued...
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