長編

□現在
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現在



朝ごはんを食べていると、寝ていた一方通行が声を掛けてきた。

「洗濯俺がする……」
「……?洗ってくれるの?」
「そォ言ってンだろ」
「じゃあもう起きるのかな?ありがたく頼んでおくね」
「おォ。下着別にしとけよ」
「……あ。うん、取っとくね」

これは失念していた。
一方通行が言わなければ一緒に洗って彼の目に触れていたところだ。

「あなたが家事手伝ってくれるなんて嬉しいな。夕ご飯何が良い?」
「肉」
「……、食材で言われても困るんだけど……まぁいいか。いってきます」



ビニル袋の音と主に帰宅する。

「肉が食べたいっていうから、奮発してステーキにしたよ」
「へェ。なんつゥか、これ以上なく肉料理だなァ」
「でしょでしょ」

ジュウジュウと食欲を誘う音と香りが部屋に充満していく。

「あ、洗濯もの取りこんでくれたのね」
「あァ」
「ありがと。すごく助かった」

やがて完成した皿をテーブルに持っていった。
カチャカチャとナイフとフォークの音を立てて二人で頬張る。

「うめェ。肉が」
「ふふーいい肉だからね。って、ちょっとは私の腕を褒めてよ」
「いい肉を無駄にせず済んだなァ」
「むーそりゃ失敗はしてないけどさぁ」

やはりリクエストしただけあって好物なのだろう。
今日の一方通行の食べっぷりはいいみたいだ。
こういうのは見ていて気持ちが良い。
彼はニヤニヤとしながらも柔らかい笑みを浮かべていた。


「あぁっ!?」

風呂上がり。思わず悲痛な声を上げてしまう。
長いこと安定していた体重が増えていた。
原因は一方通行が来てから肉料理が増えたことか。
それも男の子の好みそうな系統のものばかり作っていた。
寝間着に着替えながら溜め息をついた。

「どォしたんだよ」
「……ふとった」

いつの間にか廊下まで来ていた彼がキョトンとした顔でこちらを見ている。

「別にそこまで太っちゃいねェだろ」
「そこまでって何ー?!」
「それくらい平気だと思うぜ?女は筋肉がつきにくいしよォ」
「……筋肉はあなただってついてないよね」

うぐっと彼は言葉に詰まる。
痛いところを突いてしまったようだ。少し反省。

「……それは」
「毎日家でごろごろしてて太らないの?」

彼の腹肉をつまもうとするが、うまくつまめなかった。

「痛ェよ」
「神様の不公平……!」

彼は太りにくい体質なのだろう。わぁっと手の平で顔を覆った。

「ごめんね。あなたは痩せさせたくないけど食事から油分と肉を減らさせて頂きます」
「マジかよ……」




To be continued...
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